90秒で始まる恋〜彼と彼女の攻防戦
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少し遅れて行くと、私を見つけた絵梨花は、頬を少し膨らませて、『遅いよー』と可愛く怒った。

『ごめんね」と誤りながら女性陣側の桐谷 砂羽さんと、小野寺 詩織さんの冷ややかな視線を感じつつ、私は空いている端の席に座った。

男性陣側は、電話中の絵梨花の彼氏の渡部さん。タイプの違う2人のイケメン男性とは、社内のどこかですれ違ったりしているのだろうが、独身男性、それもイケメン男性に騒ぐ職場でもなく、社内の友人が絵梨花だけの私は、華やかな社内情報にはうとく、接点もない為、美男美女の華やかな輪に、自分だけが場違いな気がしていた。

「ごめん、朝陽の奴、遅れてくるから先に始めよ」

隣の小野寺さんは一瞬表情を曇らせたが、すぐに極上の笑顔で頷いていた。

うわっ、受付女子の笑顔スキル恐いわ…

自分には真似のできない切り替えに、心の中で拍手を送る。
男性側と女性側に別れ席につき、遅れるという朝陽さんを除いたメンバーで飲み物や料理を頼んだ後、親睦会が始まった。

仕切るのは渡部さん。

「パンデミックが解除なり、このメンバーで初の親睦会を始めたいと思います」

パンデミックで我慢してきたこともあり、初の親睦会に、皆、拍手が自然と出ていた。
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