婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!
1.ロゼッタ・クロフォード
(やっぱりこういう場所は苦手だ)
ひとりの男性がため息をつく。星空のように美しい銀色の髪に、宝石のように透き通った青紫色の瞳。すっきりと美しい目鼻立ちをした美しい男性だ。身にまとった夜会服は繊細な金の刺繍が入った流行の最先端の品で、胸には彼の瞳の色とよく似たブローチが輝いている。
彼はワイングラスを片手に周囲をぐるりと見回した。
「そんな顔するなってライノア。社交界に顔を出すことだってたまには必要だろう?」
と、彼の同行者が声をかける。ライノアとよく似た銀の髪に青紫色の瞳をした男性だ。けれど、容姿はライノアのほうが数段美しく、雰囲気はどこか野暮ったい。
ライノアは首をひねりつつ、グラスの中身を飲み干した。
「従兄弟さんにとってはそうでしょうね。だけど僕は……」
「しがない文官だから、だろう? いいか、ライノア。文官として生きていくにしても人脈は重要だよ。こういう場所で顔を売ることが将来の出世につながるんだ。真面目で正確な仕事ぶりだけじゃ、上の人間から正しく評価はされないんだよ」
「はぁ……」
ライノアは心底興味がないといった表情でそっぽを向く。
ひとりの男性がため息をつく。星空のように美しい銀色の髪に、宝石のように透き通った青紫色の瞳。すっきりと美しい目鼻立ちをした美しい男性だ。身にまとった夜会服は繊細な金の刺繍が入った流行の最先端の品で、胸には彼の瞳の色とよく似たブローチが輝いている。
彼はワイングラスを片手に周囲をぐるりと見回した。
「そんな顔するなってライノア。社交界に顔を出すことだってたまには必要だろう?」
と、彼の同行者が声をかける。ライノアとよく似た銀の髪に青紫色の瞳をした男性だ。けれど、容姿はライノアのほうが数段美しく、雰囲気はどこか野暮ったい。
ライノアは首をひねりつつ、グラスの中身を飲み干した。
「従兄弟さんにとってはそうでしょうね。だけど僕は……」
「しがない文官だから、だろう? いいか、ライノア。文官として生きていくにしても人脈は重要だよ。こういう場所で顔を売ることが将来の出世につながるんだ。真面目で正確な仕事ぶりだけじゃ、上の人間から正しく評価はされないんだよ」
「はぁ……」
ライノアは心底興味がないといった表情でそっぽを向く。
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