婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

18.トゥバルトとセリーナ

 翌日のこと、ロゼッタは職場――セリーナの部屋で、思わぬ人物との再会を果たしていた。


「こんにちは、ロゼッタ嬢」

「トゥバルト様!?」


 騎士団長こと、トゥバルト・ドーハンだ。騎士団長としての安定した給金に加え、領主としての収入が計り知れない超のつく金持ちで、ロゼッタにとって最重要人物と言っても過言ではない男性である。彼にも手紙を書いてはいたものの、仕事が忙しいためか、はたまたロゼッタにあまり興味を持ってもらえなかったからか、大した返事をもらえずにいたのだが。


「よかった。ここに来ればまた会えるだろうと思っていたんだ」

「まあ……! わざわざわたくしに会いに来てくださったのですか?」


 大きな花束とともにそんなことを言われれば、ロゼッタでなくともグッと来るに違いない。
 だが、トゥヴァルとは「いや」と小さく相槌を打った。


「君に会いたかったのは本当だよ。けれど、今日は仕事の話があってここに来たんだ」

「お仕事ですか?」


 ロゼッタは目を丸くしつつ、小さく首を傾げる。
 仕事の話に来たということは、その相手はセリーナだろう。しかし、セリーナには普段から警護の騎士がついている。しかも、騎士団長自ら出向くとは中々に珍しい。

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