婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

19.クローヴィスの策略

(クローヴィス殿下がセリーナ殿下と一緒に隣国に行くなんて……)


 いや、よくよく考えればありえないことではない。二人は年齢が近いし、クローヴィスは外交に長けていると聞いたことがある。ただ、ロゼッタに行くと約束を取り付けてから、クローヴィスの同行を後出ししてきたセリーナに対して『どうして!?』という気持ちが強いだけで。


『(お兄様に頼まれちゃったの。この埋め合わせはあとでちゃんとするから)』


 と、見ればセリーナがクチパクでロゼッタに訴えてきている。ロゼッタはムッと唇を尖らせつつ、目の前のクローヴィスに向き直った。


「まあ! クローヴィス殿下がいらっしゃれば、セリーナ殿下も安心ですね」


 今はトゥバルトもいることだし、下手な対応はできない。
 ……というか、クローヴィスがとんだ曲者であることは、先日のやり取りで学習済みだ。心の奥底で彼が今、なにを考えているかわからないので、しっかり探りを入れようと気合を入れる。


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