婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

3.実業家ウィルバート

(あーあ、今夜はすることがなくて暇ねぇ)


 王都をひとり歩きつつ、ロゼッタは小さくため息をついた。

 いつもなら仕事か夜会、どちらか予定が入っているのだが、今夜はなにもすることがない。城にこもっていてもつまらないので、こうして街に出てきたものの、ドレスの新作が出はじめるのは数週間後だし、宝石を入手しようにも予算があまりない。靴もバッグも、見ているだけではつまらないので、なんだか憂鬱になってしまう。


(どこかに素敵な出会いが落ちていないかしら)


 ロゼッタの場合、素敵な出会い――というのは、お金持ちとの出会いをいう。だが、お金持ちはお金持ちの集まるところに出没するもの。ぶらぶら街を出歩いて出会える確率は非常に低い。だからこそ、ロゼッタは日毎夜会に繰り出しているのだが。


「もしかして、ロゼッタ嬢?」

「はい……? まあ、ウィルバート様!?」


 声をかけられ振り返る。相手を認識した瞬間、ロゼッタの表情がパッと光り輝いた。

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