婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

22.その心は?

「わたくしが殿下と同じ馬車? ご冗談を」


 ロゼッタは首を傾げつつ、フフッと小さく笑う。なんでもない風を装っているが、頭はこの状況を回避するためフル回転していた。


(本当に、冗談じゃありませんわ)


 並み居る補佐官たちを差し置いて、クローヴィスの馬車に同乗するなんてとんでもない。あとでどんな噂が立つか想像するだけで恐ろしかった。


「もちろん冗談じゃない。道中セリーナと二人きりでは間が持たないし、つまらないだろう? だから、ロゼッタ嬢が同乗してほしいんだ」


 クローヴィスはロゼッタの手の甲に口づけをし、上目遣いで見つめてくる。ロゼッタはウッと息を呑みつつ、小さく首を横に振った。


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