婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

25.助言と忠告

 その日以降、クローヴィスの侍女は、事あるごとにロゼッタへと構ってくるようになった。内容は、お茶の淹れ方や立ち居振る舞い、セリーナのドレスのチョイスや化粧に至るまで非常に多岐にわたる――要はロゼッタに対して難癖をつけたいだけなのだ。


(よっぽど暇なのかしら?)


 ロゼッタはそれらすべてをニコニコと交わしつつ、内心そんなことを考えていた。
 慣れない国外での仕事ではあるが、ロゼッタたち侍女はあくまで添え物。四六時中仕事があるわけではないし、話し相手も普段より少ない。きっと、嫌がらせでもしていないと退屈で、間が持たないのだろう。


「ちょっと、私の話を聞いているの?」

「え? ええ、もちろん聞いてますとも」


 実際はまったく聞いていなかったのだが、ロゼッタはふわりと目を細める。クローヴィスの侍女はチッと舌打ちをし、眉間にぐっとシワを寄せた。


「まったく、クローヴィス殿下はどうしてこんな女のことを……」

「主君のことを悪く言うのは感心しませんわよ?」

「誰のせいだと思ってるのよ!」


 ロゼッタが首を傾げると同時に、侍女はグイッと身を乗り出す。あまりにも余裕のない表情に、ロゼッタはクスリと笑ってしまった。


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