婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

32.クロエのアプローチ

 隣国から帰国して二日目、ロゼッタはとある場所へ向かっていた。手には宝石の埋め込まれた上品なタイピンが握られている。王太子の補佐官であるライノアへのお土産だ。


(あの人、せっかく素材がいいのだから、こういうもので着飾ることを覚えさせないと)


 隣国でライノアに似たタイプのバルデマーという文官と会ってから、ロゼッタは以前よりも強くそう思うようになっていた。

 おそらく、ライノアに足りないのはもっと上に行こうという野心や上昇志向だ。それさえあれば、彼は大きく変わることができる。文官として出世をすることも可能だろうし、かなりの資産家になることができるだろう。

 ライノア自身は現状維持で構わないと思っているようだが、それではもったいないし、もどかしいとロゼッタは思う。磨いて光るものならば、とことん磨くべきだ。もちろん、ロゼッタが好きなのは磨き抜かれた宝石――つまり、既に金持ちになった後の男性たちなのだが。


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