婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

37.無駄じゃありません

『どうして私が? どうしてあなたにまで与えなければならないの?』


 ロゼッタの頭のなかで冷たい声が鳴り響く。忘れたくてたまらなかったアバルディアの甲高い声だ。


『勘違いしないで。あなたにはそんな権利はないのよ』


 クスクスと嘲るような笑い声。
 ズキン、ズキンとロゼッタの胸が痛む。

 アバルディアはロゼッタの父親であるクロフォード伯爵を金で買った。ロゼッタの母親の病気により借金まみれだった伯爵家は、アバルディアのおかげで一瞬で立ち直った。

 けれど、それはあくまで伯爵家や領地に限った話で、ロゼッタには適用されなかった。


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