婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

38.欲しいです

 それから、ライノアは馬車でロゼッタを城まで送り届けてくれた。


「マルクル様は置いてきてよかったの?」

「従兄弟さんのことなら放っておいて問題ありません。元々、僕を餌にしたほうが女性との会話をより楽しめるというだけで連れてこられていますし、馬車ぐらいいくらでも用意できる人ですから」


 ライノアがそう言うと、ロゼッタはクスリと笑う。
 ライノアの従兄弟であるマルクルは超がつく金持ちだ。すでに婚約者もいるし、駒として動かせる人間がたくさんいるのだろう。ライノアがいようがいるまいが関係ないのかもしれない。


「そういえば、今夜のあなたの夜会での態度を見ましたけれど、もう少し愛想よく振る舞ったほうがいいですわよ? そのほうが女性が寄ってきやすくなりますもの」

「別に……」

「必要ないっていうのでしょう? だけど、わたくしからすればもったいないと思いますの。せっかく素晴らしい素材なのに、活かさなければ損――いえ、神様への冒涜ですわ」


 ロゼッタはそう言って、ライノアの頬にそっと手を伸ばす。


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