婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

39.俺がそうしたかったんだ

「――思ったよりも元気そうだね」


 翌日のこと、ロゼッタはクローヴィスの執務室に呼び出されていた。
 表向きはセリーナのお遣いなのだが、クローヴィスの目的がロゼッタと話をすることだというのは明白で。


「元気そう……ということは、昨夜のことをご存知なのですね」

「もちろん」


 クローヴィスはロゼッタが夜会に参加するたびに、自分の息がかかった誰かを会場に寄越していたのだろう。まったく悪びれる様子もないし、本気で当然だと思っているに違いない。「さすがですわね」とつぶやきながら、ロゼッタは微笑んだ。


「あの女――アバルディアが王都に来ていることは把握していたんだが、警告が遅くなってすまなかった」

「まあ! 殿下のせいではございませんわ」


 勢いよく頭を下げるクローヴィスに、ロゼッタは慌ててしまう。
 ロゼッタの父親が王都に来たときのことといい、クローヴィスはこれまでもロゼッタが傷つかないよう配慮をしてくれていたのだろうか? だとしたら、もっと感謝をしなければならない。ロゼッタは深々と頭を下げた。


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