婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

40.ライノアの変化

 あの夜会から数日が経った。
 あの日から、ロゼッタのもとにウィルバートからひっきりなしに手紙が来ている。けれど、ロゼッタはちっとも開封する気になれなかった。謝罪やウィルバートが取った行動の理由を聞かされることも、同情されることも嫌だったし、読んだところで意味がないからだ。


「ねえ、ウィルバート様となにがあったの? あんなに夢中になっていたのに、最近全然話を聞かないし。なんなら話題に出すことすら避けてるでしょう?」


 昼食を食べながら、クロエがそう尋ねてきた。だが、アバルディアのことを話すわけにはいかない。聞かせても嫌な思いをさせるだけだし、ロゼッタ自身が恥ずかしいからだ。


「かいつまんで申しますと、夜会で別の女を優先された、というところですわ」


 別の女、というかアバルディアの背後にある『お金』を優先されたわけだが、決して嘘はいっていない。『お金』に負けたとは絶対に言いたくないので、こういう表現をしてしまうのはいわば仕方なかった。


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