婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

41.ライノアのデート

 ――はじめはとんでもない女性だと思った。


「ライノア様!」


 ライノアが待ち合わせの場所に到着すると、クロエがすぐに声をかけてきた。


「すみません、待ちましたか?」

「いえいえ、私もついさっき着いたところです」


 クロエはそう言って微笑んでいるが、きっと早くから来ていたのだろう。時間ぴったりに到着をしたものの、ライノアは申し訳ない気持ちに駆られた。


(ロゼッタ嬢なら躊躇なく『待った』『遅い』と言うのだろうな)


 デートの際は男性は早めに来て女性を待つべきだとか、着いたらすぐに女性の服装や美貌を褒めるべきだとか、どこからともなくロゼッタの声が聞こえてくるようで、ライノアは思わず笑ってしまった。


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