婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!
43.分かたれた道
トゥバルトの馬車で城まで帰り着いたロゼッタはホッと大きく息をついた。
(わたくしが資産家の妻になる選択肢を自ら捨てることになるなんて……)
ほんの少し前のロゼッタなら、考えられないことだった。トゥバルトは金銭的な魅力もさることながら、身分も権力もすべてを持っていて、一番理想的な結婚相手だったはずだ。けれど、ロゼッタは彼を選ばなかった。――いや、選べなかったのだ。
(だけど、これでいい)
きっと何度同じ状況に陥っても、ロゼッタは今日と同じ選択をしただろう。だから、寂しさは感じるけれど後悔はない。なんだか晴れやかな気持ちだった。
「ロゼッタ嬢」
と、城門の前で誰かに声をかけられる。返事をしながら振り返ると、そこには思わぬ人物がいた。
「ウィルバート様……」
どうしてここに?という質問は愚問だろう。ロゼッタはウィルバートからの手紙に返事をしてこなかったし、彼がロゼッタに会いにここへ来たのは明白だった。
「先日はすまなかった」
ウィルバートはそう言って大きく頭を下げる。「いえ」と返事をしたものの、ロゼッタは胸がモヤモヤした。
(わたくしが資産家の妻になる選択肢を自ら捨てることになるなんて……)
ほんの少し前のロゼッタなら、考えられないことだった。トゥバルトは金銭的な魅力もさることながら、身分も権力もすべてを持っていて、一番理想的な結婚相手だったはずだ。けれど、ロゼッタは彼を選ばなかった。――いや、選べなかったのだ。
(だけど、これでいい)
きっと何度同じ状況に陥っても、ロゼッタは今日と同じ選択をしただろう。だから、寂しさは感じるけれど後悔はない。なんだか晴れやかな気持ちだった。
「ロゼッタ嬢」
と、城門の前で誰かに声をかけられる。返事をしながら振り返ると、そこには思わぬ人物がいた。
「ウィルバート様……」
どうしてここに?という質問は愚問だろう。ロゼッタはウィルバートからの手紙に返事をしてこなかったし、彼がロゼッタに会いにここへ来たのは明白だった。
「先日はすまなかった」
ウィルバートはそう言って大きく頭を下げる。「いえ」と返事をしたものの、ロゼッタは胸がモヤモヤした。