婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

44.クロエの幸せ

 ロゼッタがトゥバルトとウィルバートの二人に別れを告げて一カ月が過ぎた。


(なんだか平和ですわねぇ……)


 それまでずっと慌ただしい日々を過ごしていたので、ロゼッタはすっかり気が抜けてしまっていた。もちろん、変わらず仕事はしているが、夜会にも通っていないし、攻略対象者が一気に減ったことで、これまでとはまったく違った日々を過ごしている。


(セリーナ殿下の夜会のドレスもできあがったし、ヘアメイクもバッチリ決まったから)


 数日後に王家主催の夜会が開かれるのだが、女官や文官と違って、ロゼッタの仕事といえばセリーナを着飾ることだけだ。こと夜会についてはロゼッタはプロなので、そこまで意気込む必要はない。他の侍女たちと一緒に穏やかに準備を進めていた。


 そんななか、クローヴィスからは定期的に手紙や贈り物が来ているものの、プロポーズの返事を急かされてはいない。ロゼッタにとって、それはとてもありがたいことだった。


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