婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

45.ロゼッタはもう逃げない

 それから数日後、王家主催の夜会の日がやってきた。
 ロゼッタはセリーナの身支度を整えた後、自分もドレスに着替えて会場へ向かう。セリーナの希望で一緒に出席することになっているからだ。


(なんだかとても久しぶりな気がするわ)


 最後に夜会へ出席したのは隣国が最後。あの時も同じことを思ったが、婚活のため毎日戦闘服に身を包み、クロエと一緒に夜会へ繰り出していた頃が本当に懐かしくなってしまう。


(さてと)


 隣国では完全に「お客様」だったロゼッタも、今夜はそういうわけにはいかない。セリーナの侍女として、夜会に華を添えるという重要な役割があるし、なにかあったときに進行役の文官たちと連携を取る必要がある。もちろん、なにもないのが一番だが、気を抜く暇はないだろう。


「ロゼッタは本当に男性の目を引くわね」


 と、先に会場入りしていたセリーナから声をかけられた。


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