婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

47.あなたという人は

 それから数日、ロゼッタは再び穏やかな日々を過ごしていた。

 夜会の翌日には、アバルディアたちは逃げるようにして領地に帰っていったらしい。クローヴィスの脅しが相当効いたようだ。とはいえ、今回の件は口頭注意で済ませるのではなく、セリーナから正式に抗議の文書が送付されている。公の場でロゼッタを貶めることは雇い主であるセリーナを貶めることに繋がる――というのがその理由だ。


『本当に、もっと早くに言ってくれたらよかったのに』


 夜会の日までロゼッタの事情を知らなかったセリーナは、唇を尖らせながらそう言った。


『頼りないかもしれないけど、これでもわたくしはロゼッタの雇い主だもの。あなたを守るためにわたくしにだってできることがあったと思うのよ』

『セリーナ殿下……』


 今後アバルディアはロゼッタに手出しはできないだろう。しても返り討ちに合うとわかっているのだから当然だ。

 夜会の一件でロゼッタの事情を知ったクロエからは『どうして言ってくれなかったの!? 知っていたら、いくらでも話を聞いたし一緒に泣いたのに』と責められたりもしたが、クロエからの愛情を感じてロゼッタは嬉しかった。


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