婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

49.婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

 ロゼッタはカーテンを開け放った。
 柔らかな太陽の光が部屋に差し込み、ロゼッタは大きく深呼吸をする。

 ドレスや宝石で溢れかえっていたロゼッタのクローゼットやドレッサーは、この数日の間に綺麗に片付けられ、部屋には大きなトランクが一つしか置いていない。

 宝飾品の殆どは、祖父母の家へ送ることにした。隣国に持ち込んだところで使う機会が少ないし、身軽でいたいと思ったからだ。

 今日は化粧は薄めで、髪も緩く結んだだけ。ドレスはコルセットの締め付けがない、シンプルで軽い布のものを選んだ。

 これまでのロゼッタとはまるで違う。
 ――けれど、これでいい。


(よし)


 苦楽をともにしたこの部屋とも今日でお別れだ。ロゼッタは「行ってきます」と口にして、いつものように部屋を出た。


「荷物はこれだけですか? あのロゼッタ様が?」

「ええ、そうよ! すごいでしょう? ものすごく厳選したんだから」


 城門の外、ロゼッタを迎えにやってきたライノアはロゼッタからトランクを受け取ると、クスリと小さく笑いを漏らす。彼は従者にトランクを渡すと、馬車に積むよう伝えた。


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