婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!
6.公爵夫人のお茶会
(よし)
フリルと刺繍がふんだんにあしらわれたピンクと白のドレスに、大きな帽子。化粧はいつもよりも控えめに、品よくおとなしめに仕上げた。鏡に写った己の姿を何度も入念に確認し、ロゼッタは満足気に微笑む。
こういう格好をしていれば、どこからどうみても深窓の令嬢にしか見えない。実際は夜ごと夜会に繰り出していても、だ。
ほとんどなにも入らないほど小さなバッグにはハンカチと財布に加え、インクとガラスペン、それから小さくて分厚い冊子を詰め込んだ。
準備は万端。気合も十分。
ロゼッタは勇んで部屋を出た。
***
それから数刻後、ロゼッタは王都にあるとある大邸宅を訪れていた。
「いらっしゃい、ロゼッタ。よく来てくれたわね」
「こんにちは、公爵夫人。本日はお招きいただき、ありがとうございます」
ロゼッタはそう言って、とても丁寧に頭を下げる。
彼女を迎え入れてくれたのはこの家の女主人――ロベルタ公爵夫人だ。ゆるやかに巻かれたシルバーヘアに堂々と優雅な佇まい。王宮勤めで王族や殿上人を見慣れているロゼッタから見ても、特別な女性だと感じてしまう。
フリルと刺繍がふんだんにあしらわれたピンクと白のドレスに、大きな帽子。化粧はいつもよりも控えめに、品よくおとなしめに仕上げた。鏡に写った己の姿を何度も入念に確認し、ロゼッタは満足気に微笑む。
こういう格好をしていれば、どこからどうみても深窓の令嬢にしか見えない。実際は夜ごと夜会に繰り出していても、だ。
ほとんどなにも入らないほど小さなバッグにはハンカチと財布に加え、インクとガラスペン、それから小さくて分厚い冊子を詰め込んだ。
準備は万端。気合も十分。
ロゼッタは勇んで部屋を出た。
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それから数刻後、ロゼッタは王都にあるとある大邸宅を訪れていた。
「いらっしゃい、ロゼッタ。よく来てくれたわね」
「こんにちは、公爵夫人。本日はお招きいただき、ありがとうございます」
ロゼッタはそう言って、とても丁寧に頭を下げる。
彼女を迎え入れてくれたのはこの家の女主人――ロベルタ公爵夫人だ。ゆるやかに巻かれたシルバーヘアに堂々と優雅な佇まい。王宮勤めで王族や殿上人を見慣れているロゼッタから見ても、特別な女性だと感じてしまう。