婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

12.セリーナの提案

 ウィルバートとのデートから一晩、ロゼッタは文机に向かっていた。

(化粧はブラウン系に、前髪はおろさず分けてみるのがいいかしら? ドレスはもっとフリルが少ないもので、Aラインのものは卒業、色合いも寒色系にしてみて……)


 頭の中でひとりごとをつぶやきつつ、ロゼッタはガラスペンを走らせる。分厚い冊子にこれでもかというほどぎっしり書き込まれた文字は『打倒 ウィルバート』の目標のため、どんなことをすればいいかを箇条書きにしたものだ。


「ロゼッタ」


 ウィルバートを落とすためには、一分一秒だって無駄にしてはならない。セリーナに呼ばれるまで仕事はないし、こういった隙間時間を有効活用しなければならない。


(声のトーンはもっと落とすべきかしら? 口調もあまり令嬢っぽくない感じにしてみるとか? 話題の方向性は間違っていないと思うのだけど、もっといろんな分野に精通しなければ。そのためには)

「ロゼッタってば」


 肩をポンポンと軽く叩かれ、ロゼッタはようやく我に返る。


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