婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!

16.なによそれ

『すまない、ロゼッタ。本当にすまない』


 やめてよ。


『私が本当に大事なのはおまえなんだ。けれど……すまない』


 嘘つき。嘘つき。嘘つき!


 ロゼッタの瞳から涙がこぼれ落ちる。
 すまないと思うなら、最初からやらなければいい。そんな簡単なこともわからないから、あの男は負け犬だというのだ。顧みる価値など一つもないし、一生関わらないでほしい。


(どうして今更わたくしの人生に現れるの?)


 例えば『死んだ』という連絡を受けたとしても、会いに行く気など微塵もなかった。それほどまでに、彼はロゼッタにとって、絶対に許せない存在だったから。


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