一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない

第2章 一夜限りのパーティー

契約を交わした翌日、私は落ち着かない気持ちで一日を過ごしていた。

本当にあれは現実だったのだろうか──。

夢のような金額と、“一晩だけ妻になってほしい”という奇妙な依頼。

頭では理解していても、胸の奥ではまだ信じきれていなかった。

 そんなとき、スマホが震えた。画面には「神宮寺聖」の文字。

「……はい。」

思わず背筋を伸ばして電話に出る。

『準備がある。今日の午後、指定の場所に来てほしい。』

低い声が耳に響き、胸がざわつく。

「準備……ですか?」

『ああ。パーティーに同行してもらう以上、君にはそれなりの装いをしてもらう必要がある。』

 淡々とした口調なのに、有無を言わせぬ響き。私は小さく息をのんで頷いた。

「……わかりました。」

電話を切ったあとも、しばらく心臓の鼓動がおさまらなかった。

どこへ連れて行かれるのだろう。

何を着ればいいのだろう。

不安と期待が入り混じる中、私は指定された高級ブティックへ向かうことになった。
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