秘密の恋/未必の故意
Adolescence
 相変わらず平凡な少年である玲司は、地元の市立中学に進学。

 一方、日美子は日美子で、ホームスクーリングを続けており、学校には頑として行かないまま。

 中学生になったことで、同級生の数がこれまでの約5倍になったにも関わらず、玲司の心はずっと、日美子に縛られたままだった。
 初めて、告白というものもされたが、
「ごめん。好きな人がいるんだ」
 そう言って断るしかなかった。
 たまたま、現場を見てきた友人からは、あとで散々羨ましがられたが、
「羨むようなことかな?好きな子じゃなきゃ、何の意味もないのに」
 玲司は、切なげにそう言い、友人に思い切りどつかれた。

 ごく普通の中学生らしく、部活や学校行事などを楽しんではいたが、いつも日美子のことが気掛かりだった。

 授業中、うわの空で、ノートに何度も“日美子”と書いているのを教師に見られ、
「間違った漢字を何度も書いてどうする!」
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