執拗に愛されて、愛して
3 Reminiscence
　私は今猛烈に怒っている。

　理由はもちろん、奴との一夜の過ちの後の会話がきっかけだった。あの男は「いつ手を出すか」という発言をしていて、私とずっとこうなるのを狙っていたのだ。私がいい友達に戻れそうって思っていたのを知っていて、それを嘲笑う様にあの男は私に手を出した。

　大前提、私も悪い事はわかっているのだけれど、それでも怒らずにはいられない。クズは死ななきゃ治らないし、可能であれば私がこの手で奴の頭にレンガを投げつけてやりたい。

　オフィスでそう考えながら仕事をしているせいで、いつもよりキーボードを打つ指が強い気がする。エンターキーを押すだけで何度隣のデスクの人の身体をビクッと揺れさせたか数えきれない。


（本当ムカつく。）


　別にワンナイトがどうとかそういう話でもなくて、お互い酒に酷く酔っていただけならお互いに気をつけましょで終われた話。だけど、計画があったとなれば別。

　私の危機管理能力が杜撰(ずさん)すぎて、私が悪いというのは理　解している。簡単に男を家に上げるべきでもないのも、上がるべきでないのも、普段であればもっと警戒出来たのに、どうしてあんなに危険な男の前で私は油断をしてしまっていたのか。そこだけは本当に恥じるべきだし、反省しなければならないと思った。
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