明治恋奇譚 〜藤堂様、ミエテマスヨ!~
藤堂様、追い詰めます
分家衆が一斉にざわめき立った。「一将様」という名が口に上ると、皆の脳裏にかつての当主の姿が鮮やかに蘇ったのだ。
玲子は真っ直ぐに輝明を見つめ、言葉を紡ぐ。
「一将様の処方を改ざんし、麻黄を過剰摂取させ、その副作用により、体調を悪化させましよね」
「ハッ、そばに居て世話をしただけで疑われるとは、やり切れなんな……」
あくまでも、とぼけようとする輝明に玲子は次の一手を繰り出す。
「輝明様のお庭に植えられている花々の中に、心臓に作用する花がございました。それを使い、弱った一将様にとどめを刺したのではございませんか」
輝明の笑みがぴたりと止まり、眉間に皺が深く刻まれる。
「妄言など吐いて、許されると思っているのか!」
そのとき、将吾が鋭い声を響かせた。
「玲子殿の言葉は妄言ではない。俺と尚文で調べた結果が、すべてを裏づけている!」
尚文は懐から紙束を取り出し、卓上に叩きつけた。
「これが菊屋薬舗の帳簿の写しだ。そしてこちらは、叔父上の筆跡による調合記録。薬の処方が意図的に変えられていた証拠だ! 表向きは支えているふりをしておきながら、自分の父親を死に至らしめたのだ」
玲子は真っ直ぐに輝明を見つめ、言葉を紡ぐ。
「一将様の処方を改ざんし、麻黄を過剰摂取させ、その副作用により、体調を悪化させましよね」
「ハッ、そばに居て世話をしただけで疑われるとは、やり切れなんな……」
あくまでも、とぼけようとする輝明に玲子は次の一手を繰り出す。
「輝明様のお庭に植えられている花々の中に、心臓に作用する花がございました。それを使い、弱った一将様にとどめを刺したのではございませんか」
輝明の笑みがぴたりと止まり、眉間に皺が深く刻まれる。
「妄言など吐いて、許されると思っているのか!」
そのとき、将吾が鋭い声を響かせた。
「玲子殿の言葉は妄言ではない。俺と尚文で調べた結果が、すべてを裏づけている!」
尚文は懐から紙束を取り出し、卓上に叩きつけた。
「これが菊屋薬舗の帳簿の写しだ。そしてこちらは、叔父上の筆跡による調合記録。薬の処方が意図的に変えられていた証拠だ! 表向きは支えているふりをしておきながら、自分の父親を死に至らしめたのだ」