明治恋奇譚 〜藤堂様、ミエテマスヨ!~
藤堂様、もはや隠しもしません。
藤堂本家へ戻った三人を、ようやく安堵の空気が包んでいた。
尚文が穏やかな声で口を開く。
「玲子君のあの勇気がなければ、お祖父様の件も闇に葬られたまま、叔父は今も藤堂の中枢に居座っていただろう。……君が声を上げてくれて、本当に感謝している」
玲子は小さく首を振る。
「……わたくし一人の力ではありませんでした。一将様が導いてくださったのです。そして、将吾様と尚文様が信じてくださったから……」
その瞳は力強く、もはや孤独な令嬢の面影はない。確かな輝きを宿していた。
その時、部屋の奥にふわりと気配が現れる。
若き日の一将の霊が、微笑みながら姿を見せ、玲子の背へ手を添えるように立った。
『ふむ……良い面構えになったな、玲子殿。お主が歩いた道は、誰も容易には真似できぬ。それでも最後まで歩き通したことを、わしは誇りに思うぞ』
尚文が穏やかな声で口を開く。
「玲子君のあの勇気がなければ、お祖父様の件も闇に葬られたまま、叔父は今も藤堂の中枢に居座っていただろう。……君が声を上げてくれて、本当に感謝している」
玲子は小さく首を振る。
「……わたくし一人の力ではありませんでした。一将様が導いてくださったのです。そして、将吾様と尚文様が信じてくださったから……」
その瞳は力強く、もはや孤独な令嬢の面影はない。確かな輝きを宿していた。
その時、部屋の奥にふわりと気配が現れる。
若き日の一将の霊が、微笑みながら姿を見せ、玲子の背へ手を添えるように立った。
『ふむ……良い面構えになったな、玲子殿。お主が歩いた道は、誰も容易には真似できぬ。それでも最後まで歩き通したことを、わしは誇りに思うぞ』