捨てられOLを溺愛する根暗エンジニアの正体は?

6.どんな俺でも受け入れてくれる?

 なんだか周りの反応が変……?

 翌朝、いつものように出社した彩葉はひそひそと少し離れた場所で話す女性社員と、上から下まで舐めるように見てくる男性社員たちの気持ち悪い視線に鳥肌が立った。

 パソコンをつけ、メールとメッセージを確認すると、未読が22件。
 昨日の帰りに全部確認して帰ったはずなのに?
 メッセージは今まで連絡を取っていた人というよりは、名前も見覚えのない人たちばかり。
 誰だろうと思いながらメッセージを開けた彩葉は、内容に驚いた。

『今日の夜、俺とどう?』
『誰とでも寝るって本当?』
『根暗でもいいんだよね。容姿はこだわらないってこと?』
 開いても開いても業務とは関係ないことばかり。

 それどころかホテルに誘うような内容ばかりのメッセージに彩葉は気持ちが悪くなった。

 見えないようにタスクバーに最小化しても、右下にどんどんメッセージが表示される。
 一体どういうことなのか。
 怖くなった彩葉は震える手でスマホを掴み、凌にメッセージを送った。

『嫌がらせ?』
『わからない。どうして急に』
『すぐセキュリティ扉の前に迎えに行く』
 本当は甘えてはいけないとわかっているのに一人ではどうにもできそうにない。

 普段なら話ができる女性社員たちとは目が合わず、避けられている気がするからだ。

『ついたよ。出られる?』
 凌のメッセージに縋るかのように、彩葉は部屋を飛び出す。
 ついさっき離れたばかりの凌に震える手でしがみついた彩葉を、凌はしっかりと支えてくれた。
< 27 / 37 >

この作品をシェア

pagetop