捨てられOLを溺愛する根暗エンジニアの正体は?

7.根暗エンジニアの正体は?

 そこからはあっという間だった。

 応接室から駐車場に移動するときには守衛さん以外会うことはなく、凌のマンションに戻るのかと思ったら向かった先は宝石店。
 なぜかサイズがぴったりな豪華すぎる婚約指輪を店で受け取り、予約が取れないことで有名なカリスマ美容師にヘアカットをしてもらい、メイクまで。入ったこともない高級ブティックでサイズがぴったりなスーツに着替え、ブランドのビジネス鞄にタブレット端末?

 凌も普段のラフな服からスーツに着替えたのはなぜ?

「行こうか」
「ど、どこに?」
「会社」
 黒縁眼鏡をはずし、長い前髪をかき上げた凌はまるで別人。
 いつもの優しい雰囲気ではなく、まるで黒豹だ。

「凌様、こちら調査結果です」
 凌様!?
 この真面目そうな眼鏡にスーツの男性は誰?

「……そういうことか」
 目を通した凌は、彩葉に調査書を手渡す。

「え? 流星の彼女が写真を?」
 写真に保存された位置情報や端末情報からスマホの持ち主を特定したという調査結果に彩葉は目を見開いた。

 こんなのどうやって調べるの?
 個人情報でしょ!?

「こちらが辞令です」
 眼鏡の男性から手渡されたのは、入社のあと1度だけもらったことがあるうちの会社の辞令だった。
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