秘密のカランコエ〜敏腕ドクターは愛しいママと子どもを二度と離さない〜
第3話
私は紺色のスクラブを着た総一郎さんを見上げる。
心臓がドッドッドッとまるで全力疾走した後のような勢いで脈打ち、苦しくなる。
若き期待の星である『矢越先生』の威厳は、以前の彼とはまた違う雰囲気を帯びており、私の知らない姿だった。
「どうしてここに……」
絞り出すような声で私は尋ねた。
偶然が重なりすぎて、私はもう限界だった。逃げることはできない。過去の罪を償う時が来たのだろう。
でも、ありのままの気持ちを表すなら、今だけは許してほしい。見逃してほしい。
付き添いが続いてまともな思考力がない今の私には何もできないから。
そんな私に対して、どれほど月日が経っても自分勝手な女だと呆れているだろうか。
「あの日からずっと、俺は茉奈を探していたんだ」
薄らと目を細めるその瞳と柔らかい表情は、怒りや呆れなどを感じさせない。
じゃあ、その感情は何?
宗一郎さんは、私に近寄りしゃがむと、そっと大きな手を私の頬に添えた。
じんわりと温かくてごつごつした頼れる大きな手に懐かしい心地よさがあった。
「こんなにやつれて……大変だっただろう」
「え……?」
想像してもいなかった言葉が返ってきて、私は思わず間抜けた声が漏れてしまう。
宗一郎さんは、私の顔を確かめるようにじっくりと見つめてきた。
叱るでもなく、責めるでもない。
ただ、離れていた年月を想う切なさや愛しさがその黒い瞳の奥に揺れていた。
そこに私が想像していた怒りや呆れはなく、ただ愛だけが満ちていた。
心臓がドッドッドッとまるで全力疾走した後のような勢いで脈打ち、苦しくなる。
若き期待の星である『矢越先生』の威厳は、以前の彼とはまた違う雰囲気を帯びており、私の知らない姿だった。
「どうしてここに……」
絞り出すような声で私は尋ねた。
偶然が重なりすぎて、私はもう限界だった。逃げることはできない。過去の罪を償う時が来たのだろう。
でも、ありのままの気持ちを表すなら、今だけは許してほしい。見逃してほしい。
付き添いが続いてまともな思考力がない今の私には何もできないから。
そんな私に対して、どれほど月日が経っても自分勝手な女だと呆れているだろうか。
「あの日からずっと、俺は茉奈を探していたんだ」
薄らと目を細めるその瞳と柔らかい表情は、怒りや呆れなどを感じさせない。
じゃあ、その感情は何?
宗一郎さんは、私に近寄りしゃがむと、そっと大きな手を私の頬に添えた。
じんわりと温かくてごつごつした頼れる大きな手に懐かしい心地よさがあった。
「こんなにやつれて……大変だっただろう」
「え……?」
想像してもいなかった言葉が返ってきて、私は思わず間抜けた声が漏れてしまう。
宗一郎さんは、私の顔を確かめるようにじっくりと見つめてきた。
叱るでもなく、責めるでもない。
ただ、離れていた年月を想う切なさや愛しさがその黒い瞳の奥に揺れていた。
そこに私が想像していた怒りや呆れはなく、ただ愛だけが満ちていた。