【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
これからのこと
タマラとジョレスを見送り、ライザはソファに座るイグナートを振り返った。彼の膝の上では、アーラがぐっすりと寝入っている。
「安心しきった顔して寝てるわね。やっぱり、血の繋がりって感じ取れるものなのかしら」
「なぁ、アーラの身体がすごく熱い気がするんだが……。熱があるんじゃないか?」
そわそわと落ち着きのないイグナートを見て、念のためにアーラの額に触れてみるが、熱はない。眠った子供がこんなにもあたたかいことを、彼は知らないのだろう。
「大丈夫、子供は体温が高いのよ」
「それならよかった」
はぁっと深く息を吐いて、イグナートが身体の力を抜く。パーヴェルも眠たそうな顔をしていたので、ライザが手招きするとよちよちとやってきた。それを見て、イグナートが身を乗り出した。
「俺が、抱っこしようか」
「どうする? パーヴェル。お父さんに抱っこしてもらおうか」
「いやない!」
ぷいっと顔を背けて、パーヴェルはライザにしっかりと抱きついた。
「おとーしゃん、あっち! おしごと、おでかけ、して。いやないの!」
「……これは、めちゃくちゃ拒絶されてるよな」
「二歳児の語彙力を最大限駆使して、あっちいって! って言ってるわね」
可愛らしい拒絶にライザは思わず肩を震わせてしまうが、イグナートは少しショックを受けた表情だ。
「やっぱり嫌われてるのか……」
「だって、ママはパーヴェルのよ」
ライザの服をぎゅっと掴みながら、パーヴェルが真面目な表情で訴える。急にあらわれたイグナートという存在に、自分の居場所を奪われるような気がして不安なのかもしれない。ライザはパーヴェルをしっかりと抱きしめると、柔らかな頬にキスを落とした。
「大丈夫よ。ママはどこにも行かないし、パーヴェルはずうっとママの宝物さん。それから、お父さんの宝物でもあるのよ」
「おとーしゃんの、たらかものさん? パーヴェルも?」
こてんと首をかしげて見つめられ、イグナートが慌てて大きくうなずいた。
「もちろんだ。……えっと、パーヴェルはお父さんの宝物だ」
自分で父親と口にするのが照れくさいのか、イグナートは少し言葉につかえつつもはっきりと宣言した。それを聞いて、パーヴェルは納得したのだろう。嬉しそうな笑顔を浮かべながら、イグナートに手を伸ばした。
「おとーしゃん、おてて、ぎゅー」
「お、おう」
イグナートが慌てて差し出された手を握ると、パーヴェルは満足げにうなずいた。それでも抱っこはライザにしてもらうことに変わりはないらしい。もう片方の手はしっかりとライザの服を掴んだまま、パーヴェルはそのまますやすやと眠ってしまった。
「安心しきった顔して寝てるわね。やっぱり、血の繋がりって感じ取れるものなのかしら」
「なぁ、アーラの身体がすごく熱い気がするんだが……。熱があるんじゃないか?」
そわそわと落ち着きのないイグナートを見て、念のためにアーラの額に触れてみるが、熱はない。眠った子供がこんなにもあたたかいことを、彼は知らないのだろう。
「大丈夫、子供は体温が高いのよ」
「それならよかった」
はぁっと深く息を吐いて、イグナートが身体の力を抜く。パーヴェルも眠たそうな顔をしていたので、ライザが手招きするとよちよちとやってきた。それを見て、イグナートが身を乗り出した。
「俺が、抱っこしようか」
「どうする? パーヴェル。お父さんに抱っこしてもらおうか」
「いやない!」
ぷいっと顔を背けて、パーヴェルはライザにしっかりと抱きついた。
「おとーしゃん、あっち! おしごと、おでかけ、して。いやないの!」
「……これは、めちゃくちゃ拒絶されてるよな」
「二歳児の語彙力を最大限駆使して、あっちいって! って言ってるわね」
可愛らしい拒絶にライザは思わず肩を震わせてしまうが、イグナートは少しショックを受けた表情だ。
「やっぱり嫌われてるのか……」
「だって、ママはパーヴェルのよ」
ライザの服をぎゅっと掴みながら、パーヴェルが真面目な表情で訴える。急にあらわれたイグナートという存在に、自分の居場所を奪われるような気がして不安なのかもしれない。ライザはパーヴェルをしっかりと抱きしめると、柔らかな頬にキスを落とした。
「大丈夫よ。ママはどこにも行かないし、パーヴェルはずうっとママの宝物さん。それから、お父さんの宝物でもあるのよ」
「おとーしゃんの、たらかものさん? パーヴェルも?」
こてんと首をかしげて見つめられ、イグナートが慌てて大きくうなずいた。
「もちろんだ。……えっと、パーヴェルはお父さんの宝物だ」
自分で父親と口にするのが照れくさいのか、イグナートは少し言葉につかえつつもはっきりと宣言した。それを聞いて、パーヴェルは納得したのだろう。嬉しそうな笑顔を浮かべながら、イグナートに手を伸ばした。
「おとーしゃん、おてて、ぎゅー」
「お、おう」
イグナートが慌てて差し出された手を握ると、パーヴェルは満足げにうなずいた。それでも抱っこはライザにしてもらうことに変わりはないらしい。もう片方の手はしっかりとライザの服を掴んだまま、パーヴェルはそのまますやすやと眠ってしまった。