【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
久しぶりのぬくもり
案内されたのはイグナートの部屋で、その隣がライザの部屋だという。子供たちの部屋も用意されているが、しばらくはライザの部屋で寝起きした方がいいだろうと言われて、その気遣いにライザは感謝の気持ちでいっぱいになる。些細なことからも、リガロフ家の人々がライザと子供たちのことを思ってくれているのが感じられて、心があたたかくなった。
お茶の準備を整えたメイドが下がると、部屋の中に二人きりだ。少し落ち着かない気持ちでお茶を飲んでいると、おもむろに立ち上がったイグナートがライザのすぐそばに移動してきた。
「ようやく、ライザを手に入れられた気がする。本当ならここに閉じ込めて、ずっと外に出さずにいたいくらいだ」
そっと囲うように抱きしめて、イグナートが囁く。ライザは笑ってイグナートの腕に手を添えた。
「どこにも行かないわよ。私の行く場所なんて、他にないもの」
「それでもまだ、心配なんだ。ずっと恋人気分で浮かれてたのは俺だけだって、突きつけられた過去があるからな」
「う……それは、ごめんなさい」
「いや、悪いのはちゃんと言葉にしなかった俺だから。母の言う通り、旅に出る前にライザにちゃんと結婚を申し込むべきだった。待っていてほしいなんて言葉でライザを縛りつけたつもりでいた俺は、なんて傲慢で愚かだったんだろうって思うよ」
深いため息をついたあと、イグナートはライザの頬にそっと手を触れた。
「落ち着いたら、式を挙げないか。俺の我儘かもしれないが、ライザのドレス姿が見たい」
「今更……って思われないかしら」
「気になるなら身内だけでも構わない。母も、ライザのドレスを依頼しようと仕立て屋に話を通しているはずだし、親孝行だと思ってくれたら嬉しい。無理にとは言わないが」
イグナートの言葉に、ライザは先程子供たちが案内されていった部屋を思い浮かべる。たくさんのおもちゃや本が用意されており、テーブルの上には子供の好きそうなお菓子が並べられていた。何着もの可愛らしい洋服もハンガーにかけられていたが、近いうちに仕立て屋を呼んで子供たちのサイズに合わせた服を作らせるつもりだとウキウキした様子で話していた。その際に、ライザのドレスもオーダーしようと言っていたが、どうやらそれは結婚式のドレスのことだったらしい。
「お義母様が喜んでくださるなら、ぜひ。私も結婚式には憧れているもの」
笑顔でうなずくと、イグナートも嬉しそうな表情になった。
「きっと、ライザのドレス姿は見惚れるほどに美しいだろうな。そうだ、子供たちにヴェール持ちをしてもらうのはどうだろう。あぁでも、まずは指輪を買いに行かなくちゃならないな」
そう言って、イグナートはライザの左手を取った。まだ何もはまっていない薬指を撫でて、そっと唇を押し当てる。
「ここに、指輪を贈らせてほしい。誰が見ても、ライザが俺のものだと分かるような、しるしが欲しいんだ」
独占欲を感じさせる言葉に、ライザの鼓動が速くなる。ぎこちなくうなずけば、表情を緩めたイグナートがゆっくりと顔を近づけてきた。キスの予感に目を閉じようとして、今の状況を思い出したライザは、慌てて彼の胸に手を置く。
お茶の準備を整えたメイドが下がると、部屋の中に二人きりだ。少し落ち着かない気持ちでお茶を飲んでいると、おもむろに立ち上がったイグナートがライザのすぐそばに移動してきた。
「ようやく、ライザを手に入れられた気がする。本当ならここに閉じ込めて、ずっと外に出さずにいたいくらいだ」
そっと囲うように抱きしめて、イグナートが囁く。ライザは笑ってイグナートの腕に手を添えた。
「どこにも行かないわよ。私の行く場所なんて、他にないもの」
「それでもまだ、心配なんだ。ずっと恋人気分で浮かれてたのは俺だけだって、突きつけられた過去があるからな」
「う……それは、ごめんなさい」
「いや、悪いのはちゃんと言葉にしなかった俺だから。母の言う通り、旅に出る前にライザにちゃんと結婚を申し込むべきだった。待っていてほしいなんて言葉でライザを縛りつけたつもりでいた俺は、なんて傲慢で愚かだったんだろうって思うよ」
深いため息をついたあと、イグナートはライザの頬にそっと手を触れた。
「落ち着いたら、式を挙げないか。俺の我儘かもしれないが、ライザのドレス姿が見たい」
「今更……って思われないかしら」
「気になるなら身内だけでも構わない。母も、ライザのドレスを依頼しようと仕立て屋に話を通しているはずだし、親孝行だと思ってくれたら嬉しい。無理にとは言わないが」
イグナートの言葉に、ライザは先程子供たちが案内されていった部屋を思い浮かべる。たくさんのおもちゃや本が用意されており、テーブルの上には子供の好きそうなお菓子が並べられていた。何着もの可愛らしい洋服もハンガーにかけられていたが、近いうちに仕立て屋を呼んで子供たちのサイズに合わせた服を作らせるつもりだとウキウキした様子で話していた。その際に、ライザのドレスもオーダーしようと言っていたが、どうやらそれは結婚式のドレスのことだったらしい。
「お義母様が喜んでくださるなら、ぜひ。私も結婚式には憧れているもの」
笑顔でうなずくと、イグナートも嬉しそうな表情になった。
「きっと、ライザのドレス姿は見惚れるほどに美しいだろうな。そうだ、子供たちにヴェール持ちをしてもらうのはどうだろう。あぁでも、まずは指輪を買いに行かなくちゃならないな」
そう言って、イグナートはライザの左手を取った。まだ何もはまっていない薬指を撫でて、そっと唇を押し当てる。
「ここに、指輪を贈らせてほしい。誰が見ても、ライザが俺のものだと分かるような、しるしが欲しいんだ」
独占欲を感じさせる言葉に、ライザの鼓動が速くなる。ぎこちなくうなずけば、表情を緩めたイグナートがゆっくりと顔を近づけてきた。キスの予感に目を閉じようとして、今の状況を思い出したライザは、慌てて彼の胸に手を置く。