天才弁護士の溺愛ミステリー♡
第2章 プレイボーイ殺人事件

11 青山をブラブラ

私たちは次の日、ブラブラと青山通りを歩いていた。

「ほら…
はぐれるといけませんから…」

宇賀神先生が左手を差し出して言った。

「今日人少ないですけど…?」

つい、意地悪を言いたくなってしまう。
仕事ではいつも馬鹿にされてるのだから。

「あなた!
ほんっとうに、可愛くないですね!」

「ごめんなさい、冗談ですよ。
繋ぎます。」

私は宇賀神先生の手を取って、キュッと繋いだ。

「よ、よろしい…!」

宇賀神先生はかなり嬉しそうだ。

私たちが青山通りをそのままブラブラし続けて、そろそろお腹も減ったし、カフェに入ろうか?とした時…

パトカーが数台裏路地に入っていくのが見えた。

「先生!
事件です!」

「だから何なんですか!!!
僕たちのデートの方が大切でしょう!?」

「いいえ、事件の方が大事です!
良いから走って!
ほら!」

私は宇賀神先生のやる気の無い手を引っ張る。

そして、入り組んだ裏通りの廃ビルの前で警察官が青いビニールシートと、テープで仕切ってるのが目に入った。

「どうしたんですか?
あ、私たち黒川法律事務所の弁護士です!」

「あぁ…
弁護士先生ですか…

どうも、事件みたいで、被害者はナイフで刺された後に廃ビルから突き落とされていて…
遺体は見れた物じゃありませんよ。

弁護士先生でもこれ以上は言えません。」

警察官は言った。

「綾乃ちゃん!
もう、行きますよ!
これ以上ここに居たって何も出来ませんよ!
美味しいコーヒー飲みに行きましょう?」

先生は私の手を引っ張る。

お前の辞書には、仕事、という文字は無いのかっ!?怒

そう思いながらも、確かにあんまりだな、と思ってデートに戻った。

♦︎♦︎♦︎

カフェにて。

「ナイフで刺した上に突き落とす、なんて、確実に息の根を止めたかったんですよね?」
「犯人は被害者に強い恨みを持っていた?」
「廃ビルに居たって事は呼び出したのかしら?」

私は言う。

「あ・の・ね!
《《デート》》ですよ!
これは!

いつまで事件のこと言ってるんですか…
この仕事ばか…」

「あー!
言ったな!?
私が仕事馬鹿なら先生は仕事間抜けですよ!
まっったくやる気が無いじゃないですか!」

「僕が…
僕が…どれだけこのデートを楽しみにしてたか、あなたには分からないんですよ!」

先生は何故か半泣きだった。

えっ!
そんなに悪いことした!?

「もう良いです!
ずっと事件のこと考えてなさい!」

先生はお勘定を取ると、会計へ向かい、私を置いてけぼりで帰ってしまった。

な、な、何よー!
か、帰る事ないじゃんかー!

そりゃ…
私が悪い…かも…だけど…

私はトボトボと地下鉄でマンションに向かった。
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