天才弁護士の溺愛ミステリー♡

12 ガン無視

次の日、先生はまたしても朝早く法律事務所に来ていた。
私が、おはようございます、と挨拶すると、プイッと無視された。

おのれは中学生男子かーーー!?

しかし、私が悪いのははっきりと分かっている為、何とも言いようがなかった。

そんな中、宇賀神先生にある依頼が舞い込んで来た。

それは、昨日の青山の廃ビルでの殺害事件の被疑者からだった。

「せ、先生…?」

無視される。

「先生、ご機嫌が悪い所申し訳ないんですけど、お仕事ですよ?」

「…受けると思います?」

「それが、昨日の青山の廃ビル事件の被疑者なんです!」

私が言うと、先生は端正な顔を思いっきりしかめて言った。

「だったら、尚更受けませんよ!!!
僕のデートを邪魔したあんな事件なんて!!!」

「先生、落ち着いてください。
私が悪かったのは、謝りますから…
そうだ、今度私がご馳走しますよ!」

「ふんっ…!」

先生の機嫌はまだ治らない。

「それに、この被疑者、かなりの美人で巨乳です。」

私はトドメの一言を言った。

「…行きましょうか。
決して美人で巨乳に反応した訳ではありませんから!」

「はいはい、お供します〜。」

という訳で拘置所に向かった。

♦︎♦︎♦︎

面会すると、彼女はぴたっとしたニットのトップスを着ており、巨乳がはっきりと見えた。
先生は上機嫌で、カッコつけて挨拶する。

佐伯友子(さえきともこ)さんですね?
僕は黒川法律事務所の看板弁護士の宇賀神玲です。
よろしくお見知りおきください。」

にっこり笑って言う宇賀神先生に、友子さんは少しぼーっとする。

はいはい、外見だけは良いですからねぇ!

「佐伯さん、あなたは亡くなった伊藤葉(いとうよう)氏を殺して居ない、と言う事で良いのでしょうか?
黙秘してらっしゃるみたいですが…」

「はい、私は殺していません。
私があの廃ビルに行った時には彼はもう死んでいました。」

「なるほど。
しかし、何故あの廃ビルに?」

「別れ話が拗れて…
あ、私と伊藤葉は付き合っていました。
それで、その日2回目の別れ話をする予定だったんですけど、人気が多い所だと、わめいたりして迷惑かな?と。
それに、彼はあぁゆう場所が好きでしたから。
秘密基地、みたいな。」

佐伯さんは言った。

「しかし、行ったらもう既に死んでいた、ですか…
さて、誰がその話を信じるか…?」

「先生、お願いします!
私は無実です!
先生だけが頼りなんです!」

「最善は尽くすとお約束しましょう。」

そして、1回目の面会が終わった。

「鼻の下伸ばしちゃって…」

私は嫌味を言う。

「恋人がキスもさせてくれないんですからね。
鼻の下だって伸びますよ。」

先生はそう言って車に乗った。
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