天才弁護士の溺愛ミステリー♡

14 慶應義塾大学

慶應大学に到着し、私たちは伊藤葉氏と佐伯友子さんが知り合ったというテニスサークルを訪れていた。

「すいません、黒川法律事務所の宇賀神と言いますが、佐伯さんと伊藤氏について何かご存知の方は居ませんか?」

宇賀神先生が人当たりの良い笑顔でそう言った。

「あぁ、俺両方と友達だけど…」

1人の男子学生が名乗り出た。

「失礼ですが、あなたは?」

矢崎康太(やざきこうた)
このテニスサークルの副部長です。
2人ともと仲が良かったので、何か力になれれば…」

「ありがとうございます。
矢崎さん。
何でも良いので、伊藤氏と佐伯さんに関する事を教えていただけませんか?」

「んー、そうですねぇ。
2人は大学一年生から付き合って、もう三年になります。
伊藤は結構モテるタイプで、俗にいうプレイボーイだったので、佐伯さんはその点苦労したでしょうね。」

彼は言った。

「へぇ、プレイボーイだった、という事は他にも伊藤氏を恨んでいる女性、または男性は多かった、という事ですか?」

「…と思いますよ?
あまり故人を悪くは言いたくないですけど、色んな女の子と揉めていましたから…」

「女性にはかなりだらしない性格だった、と?」

「そうですね。
でも、良い所もありましたよ。
女性にはだらしない奴ですが、必ず時間や約束を守る良い奴でもあり…
待ち合わせしたら、必ず30分前にはその場に居ましたから。
聞いたら、腕時計をいつも30分早めているそうですよ。
おかしいでしょ?」

「先生…っ!」

それを聞いて私は先生を見た。

「えぇ、かなり有力な情報です。
矢崎さん、証人として法廷に立って欲しいのですが…」

「え?
はい、俺でよければ…
でも、重要な事なんて何も知りませんよ?」

「いえ、今言った話を法廷でしていただければ充分ですよ。」

♦︎♦︎♦︎

そして、第1回の裁判が始まった。

「では、検察側の冒頭陳述を行ってください。」

「はい。
検察は亡くなった伊藤葉氏のスマホの履歴を調べて居ました。
すると…
事件の起こった1/31の正午に佐伯友子被告と会う約束をLINEでしていたんです!
そして、彼の腕時計は突き落とされた衝撃で、12時ちょうどで止まっていました。
さらに!
佐伯被告が通報したのは、12時03分!
佐伯被告が犯人に違いありません!」

検察官は声高らかにそう言った。

一方、宇賀神先生は証人尋問をした。

「矢崎さん、あなたは伊藤葉氏と佐伯友子さんと、両方の友人らしいですね?」

「はい、同じサークルでしたから。」

矢崎さんは答えた。

「伊藤氏はかなり女癖が悪かったと言って居ましたね?」

「はい。
その通りです。
人の彼女を寝取ったり、複数同時に手を出したり…」

彼はまた答えた。
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