天才弁護士の溺愛ミステリー♡
5 第1回裁判
そして、第1回目の裁判が始まろうとしていた。
戦う検察官は、兵藤護氏で、かなりの確率で犯人を懲役刑にしている凄腕検察官だ。
「では、検察側の冒頭陳述を行ってください。」
裁判官が言った。
兵藤検察官は前に出てアイスピックの入った透明な袋を掲げた。
「これは、故斉藤五郎氏の背中に突き刺さっていた凶器のアイスピックです。
この凶器からは、間違いなく犯人である斉藤洋子さんの指紋だけが検出されています。
これが、検察側が彼女を犯人としてしかるべき刑を求刑する理由です!」
そう、兵藤検察官は言った。
「では、弁護人側の冒頭陳述を述べてください。」
「頑張って下さい、宇賀神先生…!」
私は小声で先生に言った。
「はいはい。」
彼はダルそうにそう言うと席を立って前に出た。
「ここに、カルテの写しがあります。
弁護側はこのカルテの写しを証拠として裁判長に提出致します。
少し内容を読み上げます。
令和6年.12.22、斉藤五郎氏を肺がんステージ4の末期と認定する。」
宇賀神先生がそう言った時、傍聴席や裁判官はわずかにどよめいた。
誰も、斉藤五郎氏が末期のガンだと知らなかったのだ。
「続けます。
つまり、斉藤五郎氏は自分の死を覚悟していました。
この事件、本当に他殺なのでしょうか?
もしかして、自殺なのでは無いか?
弁護側はその論点で争う所存です。」
宇賀神先生は言い、その日の裁判は互角という結果で終わった。
「先生!
お疲れ様でした!」
「惚れました?」
「いや、惚れはしませんが…」
「チッ…!」
「いつもながらお見事です!」
「仕事の話はもう良いです。
ドライブ付き合ってください、綾乃ちゃん。
少し頭を休めたいんです。」
「あ、はい。
お供します。」
「お供、ねぇ…?」
「???」
私はシートベルトを閉めた。
先生の車は軽やかに23区を走っていく。
「あ、ラブホ発見!
今後の勉強のために入りますか?」
「何の勉強ですか!
何のっ!」
私は突っ込む。
「ラブホ密室殺人事件…とか…」
「起きませんよ…」
哀れみの眼差しで先生を見る私。
「ねぇ、綾乃ちゃんの好みのタイプってどんなんですかー?」
「え、好みのタイプ…ですか?」
「えぇ、あるでしょう?」
「まぁ…」
「で、どんななんです?」
「うーん…
そうですね、頭が良くて、芯があって、話してて楽しい人、かなぁ?」
「僕のことですかっ!?」
「いえ、全然違いますね。」
私は言う。
まだ、チラチラと雪が降っている。
2月に入ろうとしているのに、外はまだ寒いのだ。
私はそんな外を眺めていた。
戦う検察官は、兵藤護氏で、かなりの確率で犯人を懲役刑にしている凄腕検察官だ。
「では、検察側の冒頭陳述を行ってください。」
裁判官が言った。
兵藤検察官は前に出てアイスピックの入った透明な袋を掲げた。
「これは、故斉藤五郎氏の背中に突き刺さっていた凶器のアイスピックです。
この凶器からは、間違いなく犯人である斉藤洋子さんの指紋だけが検出されています。
これが、検察側が彼女を犯人としてしかるべき刑を求刑する理由です!」
そう、兵藤検察官は言った。
「では、弁護人側の冒頭陳述を述べてください。」
「頑張って下さい、宇賀神先生…!」
私は小声で先生に言った。
「はいはい。」
彼はダルそうにそう言うと席を立って前に出た。
「ここに、カルテの写しがあります。
弁護側はこのカルテの写しを証拠として裁判長に提出致します。
少し内容を読み上げます。
令和6年.12.22、斉藤五郎氏を肺がんステージ4の末期と認定する。」
宇賀神先生がそう言った時、傍聴席や裁判官はわずかにどよめいた。
誰も、斉藤五郎氏が末期のガンだと知らなかったのだ。
「続けます。
つまり、斉藤五郎氏は自分の死を覚悟していました。
この事件、本当に他殺なのでしょうか?
もしかして、自殺なのでは無いか?
弁護側はその論点で争う所存です。」
宇賀神先生は言い、その日の裁判は互角という結果で終わった。
「先生!
お疲れ様でした!」
「惚れました?」
「いや、惚れはしませんが…」
「チッ…!」
「いつもながらお見事です!」
「仕事の話はもう良いです。
ドライブ付き合ってください、綾乃ちゃん。
少し頭を休めたいんです。」
「あ、はい。
お供します。」
「お供、ねぇ…?」
「???」
私はシートベルトを閉めた。
先生の車は軽やかに23区を走っていく。
「あ、ラブホ発見!
今後の勉強のために入りますか?」
「何の勉強ですか!
何のっ!」
私は突っ込む。
「ラブホ密室殺人事件…とか…」
「起きませんよ…」
哀れみの眼差しで先生を見る私。
「ねぇ、綾乃ちゃんの好みのタイプってどんなんですかー?」
「え、好みのタイプ…ですか?」
「えぇ、あるでしょう?」
「まぁ…」
「で、どんななんです?」
「うーん…
そうですね、頭が良くて、芯があって、話してて楽しい人、かなぁ?」
「僕のことですかっ!?」
「いえ、全然違いますね。」
私は言う。
まだ、チラチラと雪が降っている。
2月に入ろうとしているのに、外はまだ寒いのだ。
私はそんな外を眺めていた。