winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

変化

『最新のニュースです。この度葉山ホールディングスはスカイホールディングスと合併し、一部上場しました。社長の葉山龍一氏は…』



ピッ⁈



リモコンに手をかけた拓がテレビを消した



拓と暮らすようになってから早半年以上が過ぎようとしていた


私達の生活はあまり変わらず、拓は日中のカフェでのバイトをちゃんと続けている…


 
相変わらず音楽活動は続けていて、最近ではライブハウスで他バンドと合同でライブをするようになった…



私達の生活に相変わらず余裕はないけど、2人で生活する事くらいはできる



拓は音楽活動をする傍らバイトをして家計を支え、家事も相変わらず殆ど全部こなしてくれる



私は変わらず青蘭荘で働き、主になって家計を支えている



所謂一家の主だ



「愛奈大変。仕事に遅れちゃうよ⁈」



「やばい」



急いで拓が焼いてくれた食パンを口に頬張った私は、急いでアパートを出ようと玄関で靴を履こうとした



「あっ忘れ物⁈」



大事な忘れ物をしていた私は玄関まで進んだ足を止め、くるりと引き返した



ん?



拓が不思議そうな顔をしている



「行ってきますのチュー」



私はそう言うと拓にチュッとして行ってきますのチューをした



「行ってきます」



「行ってらっしゃい」



仕事に行く前に行ってきますのチューをするのが、私の日課で、パワーの源だ



拓が手を振る中、チューをしてエナジーをちゃんとチャージした私は、今日も頑張るぞーと仕事に向かった…






< 34 / 165 >

この作品をシェア

pagetop