winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

日常

「岩崎さん今日はいい天気ですよ」



カーテン開けますね



「あー眩しい。目が痛くなっちゃうよ」 



86歳を迎えた岩崎さんは、眩しそうに目を細める



岩崎さんは眩しい太陽の光が苦手だ



私はいつもカーテンを開ける時には気を遣っていた…



「あー眩しかったですね⁈ごめんなさい。でも、たまにはお部屋に光も入れないと…」



岩崎さんはやっぱり眩しそうに太陽の光を嫌がっている



「じゃあ半分だけ開けますね」



私は全部開けようと思ったカーテンを半分だけ開けた



「岩崎さん、今日は節分だから、鬼が来るかも?怖い鬼が来たらどうします?」



私は手を上にして、少し脅し気味に言ってみた



「私は鬼なんか怖かないよ。太陽の光の方がよっぽど怖い」



あー嫌だ嫌だ



岩崎さんは余程太陽の光が嫌なようだ



「たまには外の光も浴びましょうね」



そう言って私は掃除をさっと済ませると、岩崎さんの部屋を後にした…


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