社内では秘密ですけど、旦那様の溺愛が止まりません!
秘密の関係とお嫁さんランキング
「りょうくん、ネクタイ曲がってるよ」
「……また?」
朝のキッチンに、トーストの香りが広がる。
稲木亮——じゃなくて、“浅賀亮”。
私の夫であり、会社では“地味な同期”を演じている人だ。
「もう、結び方下手なんだから。じっとしてて」
「結んでもらうために、わざとだよ」
その言葉に私も朝からドキドキしてしまう。でもそんな素ぶりなんて見せず、
「そういうこと言うと、会社で素が出るよ!?」
ふふっと笑って、彼のネクタイを整える。こうやって彼の身なりを直すの、何度目だろう。
高校のときも、体育祭のあと、汗だくになって乱れた彼の制服のボタンを留めてあげた。
そのときの亮は、今よりずっと不器用で、顔を真っ赤にしてた。
(そのくせ、帰り道に「ありがとう」しか言えなかった人だったな……)
今はもう、ネクタイを結ばせながら平然と甘いことを言う。時々、そういう変化が面白くて、少しだけ胸がきゅんとする。
「じゃあ俺、先に出るね」
「うん。私は10分後に行くね」
そう言うと玄関まで送った。
「いってきます、渡辺さん」
「……いってらっしゃい、浅賀くん」
そう笑い合うと掠めるようなキスをした。
玄関のドアが閉まると、いつも少しだけ胸がきゅっとなる。
「……また?」
朝のキッチンに、トーストの香りが広がる。
稲木亮——じゃなくて、“浅賀亮”。
私の夫であり、会社では“地味な同期”を演じている人だ。
「もう、結び方下手なんだから。じっとしてて」
「結んでもらうために、わざとだよ」
その言葉に私も朝からドキドキしてしまう。でもそんな素ぶりなんて見せず、
「そういうこと言うと、会社で素が出るよ!?」
ふふっと笑って、彼のネクタイを整える。こうやって彼の身なりを直すの、何度目だろう。
高校のときも、体育祭のあと、汗だくになって乱れた彼の制服のボタンを留めてあげた。
そのときの亮は、今よりずっと不器用で、顔を真っ赤にしてた。
(そのくせ、帰り道に「ありがとう」しか言えなかった人だったな……)
今はもう、ネクタイを結ばせながら平然と甘いことを言う。時々、そういう変化が面白くて、少しだけ胸がきゅんとする。
「じゃあ俺、先に出るね」
「うん。私は10分後に行くね」
そう言うと玄関まで送った。
「いってきます、渡辺さん」
「……いってらっしゃい、浅賀くん」
そう笑い合うと掠めるようなキスをした。
玄関のドアが閉まると、いつも少しだけ胸がきゅっとなる。
< 1 / 50 >