社内では秘密ですけど、旦那様の溺愛が止まりません!
飲み会と嫉妬
金曜日の午後。
週末の空気が漂い出したところで広報課のチャットに1通の通知が飛んできた。
【全体合同飲み会:本日19時から。参加希望者は返信】
「え? 今日?」
そんな声がちらほらと聞こえてくる。
「今夜の合同飲み会、基本全員参加ね〜!」
うちの会社の飲み会って、なぜか妙にハイテンションなのだ。私はお酒が弱いし、人前で騒ぐのも得意じゃない。
でも全員参加と言われればよほどのことがない限り欠席はない。
本当に仲がいいからこのパワーワードも嫌な感じはしない。ただ、飲み会が苦手、と言うだけで。
それに亮くんも行くなら他の人に取られないように見張っておかなければ、と思う。
彼には「今のこの姿を見て俺に興味を持つ人なんていないよ。よほどの変わり者しか、ね」と言う。確かに今の亮くんは綺麗な顔を前髪で隠し、さらには黒縁メガネで表情もあまり見えないようにしている。ひたすら真面目で目立たない人であるように心がけているのだ。もちろん周囲との関係は良好だが、それ以上に興味を持たれないように地味さを出している。30歳までは一般社員として紛れ仕事をするののが亮くんの家庭の決まり事。だからトラブルなく地道に仕事をするのが今の彼の目指すところ。
それでも亮くんの前髪とメガネの奥の顔をじっと見られたらと思うと女心としてはやはり心配でしかない。
ただし、気をつけなきゃいけない。
絶対に“りょうくん”って呼ばない。
たとえ酔っても、たとえ見つめられても。
これだけは守らないと、すべてが終わる。
彼が夫だといえないままに参加する合同の飲み会は、これほど心臓に悪いイベントはないと思う。
はぁ……。小さくため息をつくと午後の打ち合わせを終えてデスクに戻る途中の神谷くんに声をかけられた。
週末の空気が漂い出したところで広報課のチャットに1通の通知が飛んできた。
【全体合同飲み会:本日19時から。参加希望者は返信】
「え? 今日?」
そんな声がちらほらと聞こえてくる。
「今夜の合同飲み会、基本全員参加ね〜!」
うちの会社の飲み会って、なぜか妙にハイテンションなのだ。私はお酒が弱いし、人前で騒ぐのも得意じゃない。
でも全員参加と言われればよほどのことがない限り欠席はない。
本当に仲がいいからこのパワーワードも嫌な感じはしない。ただ、飲み会が苦手、と言うだけで。
それに亮くんも行くなら他の人に取られないように見張っておかなければ、と思う。
彼には「今のこの姿を見て俺に興味を持つ人なんていないよ。よほどの変わり者しか、ね」と言う。確かに今の亮くんは綺麗な顔を前髪で隠し、さらには黒縁メガネで表情もあまり見えないようにしている。ひたすら真面目で目立たない人であるように心がけているのだ。もちろん周囲との関係は良好だが、それ以上に興味を持たれないように地味さを出している。30歳までは一般社員として紛れ仕事をするののが亮くんの家庭の決まり事。だからトラブルなく地道に仕事をするのが今の彼の目指すところ。
それでも亮くんの前髪とメガネの奥の顔をじっと見られたらと思うと女心としてはやはり心配でしかない。
ただし、気をつけなきゃいけない。
絶対に“りょうくん”って呼ばない。
たとえ酔っても、たとえ見つめられても。
これだけは守らないと、すべてが終わる。
彼が夫だといえないままに参加する合同の飲み会は、これほど心臓に悪いイベントはないと思う。
はぁ……。小さくため息をつくと午後の打ち合わせを終えてデスクに戻る途中の神谷くんに声をかけられた。