Love Sky Travel

12 ヘルプミー

日本に無事戻ったものの、手を怪我しているせいで日常生活は困難を極めた…

幸いにも、左手だった為、食事などは取れるが、料理、洗濯、掃除など一切出来ないのだ。
3日も経たない内に部屋は散らかり放題になった。

あちゃー…
これは…
ヘルパーさんでも雇わないといけないか…?

と、思った時、玄関のインターホンが鳴った。

私が出ると…
そこには、仙石機長の姿が…!!!

「えぇぇぇぇぇ!?
すぐ開けます!」

私は驚きながらも、玄関のドアを開けた。

「…すまん…
心配になって…
来てしまった…」

「え、あ、はい…」

「それだけか?」

「いや、突然過ぎて…」

「左手の怪我じゃ、身の回りの事も出来ないんじゃないかと思ってな…」

「い、いや、案外何とかなってますよ!」

私は咄嗟に嘘をつく。

「そこ、Tシャツが脱ぎ捨ててあるけど…?」

「あわわわわ!
こ、これは、後で片付けようと!」

「いいから、中に入れろ。
俺が片付けてやるから。」

「い、嫌ですよ!」

「怪我人が見栄張るなよ。」

ズイズイと入ってくる仙石機長…

あー!
汚部屋を見られてしまうー!
好きな人に汚い部屋を見られるなんて、一体何の罰ゲームよ!?

「きったねぇな…」

「し、し、仕方ないじゃないですかぁ!」

「だから、俺が片付けるから、お前は座ってろ。」

仙石機長はテキパキと片付けていく。
慣れてるなぁ…

「慣れてますね…」

「一人暮らしだからな。
これくらいは。」

仙石機長はあっという間に部屋を片付けて掃除機までかけた。

「あ、ありがとうございます。」

「こ、こ、これ…
片付ける所が…」

仙石機長は困ったように、洗濯物の一部を指す。

え、私のブラジャー!?

「わ、わ、私が片付けます!」

「てゆーか…
お前左手怪我してるのに…
ブラジャー付けれるのか…?」

「えー…あ…
付けてません…」

「はぁぁぁあ!?」

仙石機長は真っ赤になって私のTシャツを見つめる。

「どこ見てるんですかっ!?」

「どこって乳首…」

「仙石機長!!!」

「わ、わ、分かったよ、悪かったよ。
でも、せめて、もう少し分厚いトレーナー着ろよ。」

「突然来るからでしょ!
LINEの1つでもくれればいいのに!
もうっ!」

私はブツクサ文句を言いながら、隣の部屋で着替えた。

ふと、部屋から出ると、仙石機長はエプロンをして、野菜を刻んでいる。

「え、料理出来るんですか…?」

「一人暮らし歴長いからな。
それに、割と好きだし。」

「ふぅん?」

「テーブルくらい拭けるだろ?
ほら、台拭き。」

「はいはい。」

「はいは一回!」

すっかり機長モードだ。
ここは、空港じゃ無いってば!
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