Love Sky Travel

18 正式に…

沈黙が流れる車内で…
仙石機長は私の手を握りしめ返しながら、言った。

「離婚が正式に決まったら…
その時は俺と…」

「はい…」

「…ありがとう。」

ただ仙石機長はそう言った。

そして、私はマンションまで送ってもらい、車から降りた。

♦︎♦︎♦︎

それから、1ヶ月間はフライトに忙しかった。

仙石機長とタッグを組む事もあるが、別の機長の時もある。
そんな中で荒波に揉まれながらも、私はCAとして着実に実力をつけて行った。

その日フライトが終わりマンションに帰ると、エントランスに仙石機長が居た。

彼は大きなピンクの薔薇の花束を持っていた。

「仙石機長…
まさか…」

「離婚…
正式に決まったよ。
これ…
受け取ってくれ…
そして、コレも…」

仙石機長は私に薔薇の花束を渡すと、小箱を持ってひざまづいた。

「水瀬…鈴…さん…
俺と、結婚を前提にお付き合いしてくれますか?」

その小箱の中には、ペアリングがあった。

「はい…!」

私が答えると、仙石機長は私の左手を取り、薬指に指輪を嵌めてくれた。

「俺にも…
いいかな?」

「はい。」

私は仙石機長の手を取り薬指に指輪を嵌める。

そして、私たちはキスをした。
それは、誓いのキスではなく、約束のキスだった。

「…泊まっていき…ます…?」

私は上目がちに尋ねた。

「いや…
辞めとくよ…」

がっかりする私に、仙石機長は追加で優しくキスをして、こう言った。

「離婚したからってすぐに手を出すのも…な。
人としていかがなものかと…」

もうっ!
変な所で真面目なんだから!

そんなの…

「分かりました…」

「でも、抱きしめてもいいかな…?」

「いちいち聞かないでください。」

「それじゃ、遠慮なく。」

仙石機長の胸の中にふわりと抱きしめられて、仙石機長の深いラベンダーみたいな香りに包まれる。
ずっと、こうしてみたかった…
やっと…

「やっと…
こうできた…」

同じ事考えてる…

「仙石機長…」

「直哉…
直哉だ。」

「な、直哉…さん…?」

「何だよ、さっきからモゾモゾして。
離して欲しい?」

「違くて!
その…
キス…
もう一回…
して?」

「可愛い奴め…」

直哉さんは深い深いキスをしてくれた。

こうして、私たちはその日正式に付き合った。

私は部屋に上がってからも、ずっとそのペアリングを見ていた。
飽きる事なく…

はぁぁぁあ…
しかし、お泊まりは無しかぁ…

いや、離婚したなら問題無いし!
もうっ!
奥手なんだからぁ!

などと思いながら、その日は1人寂しく眠りについた。
深いラベンダーの香りはまだ漂っているような、そんな気がした。

おやすみなさい☆
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