Love Sky Travel

20 BARデート

パリにて、オフの日。
私と仙石機長はとあるバーに向かった。

そこは、薔薇の花のアーチや花壇のある可愛らしいバーで、昼間はカフェとして経営しているらしい。

「お酒飲めるんだよな?」

「飲めますよぉ!
何なら勝負しますか!?」

「おいおい、別に競う訳じゃ無いんだから…」

「だってー」

「俺はウィスキー、ロックで。
鈴は?」

「うーん、ファジーネーブルにします!」

私たちは英語で注文し、乾杯した。

「ILS進入って私初めてでしたよ。
アレってやっぱり難しいんですか?」

「そりゃあね。
熟練の腕と勘は必要だよ。
まぁ、パイロットにしか分からない世界さ。」

仙石機長はウィスキーを飲みながら言う。

「ふーん…
パイロットにしか分からない世界…」

「鈴だって、CAにしか分からない事たくさんあるだろう?
それと一緒さ。」

「うーん…
そんなものか…」

私はファジーネーブルを何度もお代わりして、最後、ベロベロの状態になった。
仙石機長が肩を貸して、私の腰を支えながら何とかホテルに向かった。

部屋まで送ってもらって…

「直哉さーん…
帰らないで…?」

おいおい、私の口よ、何を言い出すんだ?
しかし、酔っ払っているので止まらない。

「しかし…
こう言う酔っぱらった勢いってのは…
よくない…」

「あーん、この服暑い!」

私はブラウスを捲り上げた。
だから、何をやってるのだ!?

「おまっ!
脱ぐなよ!!!」

「なーんれぇ?
もう離婚したんでしょぉ?
ねぇ、直哉さーん…」

「ダメだ!
そう言う事はシラフの時にだな!」

「ブラが苦しい…
取って…?」

「そんなことしたら、丸見えだろ!
む、む、無理だ!」

仙石機長は二、三歩後退りした。

「なによぉ、いくじなしー!」

私はブラのホックに手をかける。

「ダメだ、鈴!
やめてくれ!
理性が…!」

仙石機長は目を瞑ってそう叫んだ。

しかし、私は力尽きて、そこで眠ってしまった。

「嘘だろ…?
そこは、外してくれよ…っ…!」

仙石機長の悔しそうな声が聞こえる。

朝起きると…

上半身は下着のみで、スカートはぐちゃぐちゃだった。

しまった…!
スカートぐちゃぐちゃになっちゃった!

クリーニング行きね…

しかし、昨日の記憶がまるでない。
何かしたかしら?
私???

帰りの飛行機で、仙石機長は私と目を合わせようとしなかった。

???

やっぱり酔っぱらった時に何かあったのかな?
でも、覚えて無いしー。

私は、何も気づかないまま、飛行機はゆっくりと羽田空港に向かっていく。
仙石機長の心の中とは裏腹に、空は雲一つ無い晴天だったとさ。
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