Love Sky Travel

7 ロスのカフェ

アイマスクを付けて、束の間の休息に入る私。
何だか見られているような気がするけれど、そんな事を思いながらも、眠りに落ちていった。

目を覚ますと、もう、仙石機長は居なかった。

そして、桜井さんと交代後、いよいよ、機体はロサンゼルスに到着した。
ロサンゼルスは快晴で雲一つなかった。 

機体がふわりと着地し、華麗にランニングすると、本格的に停止して、乗客を下ろし始める。

私たちはお客様を送り出す事に専念し、その後、ステイ先のホテルに移動した。

仙石機長はどこのホテルなのかしら…?
って、バカバカ!
そんな事考えてる場合かぁ!

私は部屋に着くと、メイクを落としてシャワーを浴び、時差ぼけのままベッドで寝倒した。

3日後に帰りの便があるので、それまでは自由時間なのだが…
かなり疲れている…
これで、本当にロサンゼルスのカフェに行けるだろうか…?

やっと起きた次の日、仙石機長からLINEが入っていた。

『今日、◯◯◯ホテルのカフェで待ってる。』

と。

どうやら、同じホテルに宿泊しているらしい。

良かった…
ホテル内のカフェならば、なんとか行けそうだ。

私は薄く化粧して、白のオフショルダーのワンピースに着替えると、ホテルの14階にあるカフェに向かった。

「水瀬、こっち。」

仙石機長は奥の席で雑誌を片手に私を呼び寄せる。

「こ、こ、こんにちは!」

「お、おぅ…」

私の挨拶が極道みたいだった為か、仙石機長も合わせて挨拶する。

「えーと、何にする?
悪い、先にコーヒー頼んだわ。」

「いえ、私が遅かったから…
私はカプチーノを。」

仙石機長は流暢な英語でカプチーノを注文する。
とは言え私も英語は得意ではある。
でなければ、新人でいきなり国際線には乗れないのだ。

「仙石機長、その雑誌は?」

「あぁ、面白くないよ。
ザ・パイロットっていう毎年出てるパイロットの為の雑誌だからな。
まぁ、君には勉強になるかもしれないな。」

「へ、へぇ…」

「どうだった?
初のフライトは?」

「えーと…
緊張しました…
で、でも…」

「でも?」

「仙石機長が居てくれて良かったな、って…」

「…口説いてる?」

「ちがっ!
違いますよ!」

「ははは。
冗談だよ。
そりゃ、良かった。」

仙石機長は右頬のえくぼをつくり、リラックスした笑顔を見せた。
やっぱりかっこいい…よね?
かなり整った顔立ちだが、右頬のえくぼは人懐っこい雰囲気も醸し出している。

「そう言えば、レベル999以外には、何を?」

「そうだな…」

私たちはファンタジー漫画について熱く語り合った。
仙石機長もかなりファンタジー漫画好きらしい。
ラノベから漫画化されたものまで購読しているとか。
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