Love Sky Travel

8 日本での

私たちはコーヒーを何度かお代わりして、そのカフェに居座り、語り合い続けた。
どんな食べ物が好き?
何色が好き?
嫌いなものは?

私たちには無限の会話があった。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、気づけばカフェが閉店する時間になった。
若干迷惑そうな店員に見送られて、私たちはカフェを後にした。

「また…
会いたいんだが…」

「わ、わ、私もです!」

「日本に着いて落ち着いたら連絡するよ。」

仙石機長は私の髪をサラリと手に取ると、その髪にキスをした。

真っ赤になる私。

「そんな顔するなよ…
別れ難いじゃないか…」

「え、ご、ごめんなさい…!」

「また。
ゆっくり休んで残りのフライトも頑張ろう。」

仙石機長は私を部屋まで送り届けると、紳士らしく帰っていった。

神経など通っているはずもないキスされた髪の毛が、なんだか熱いような…そんな気がした。

♦︎♦︎♦︎

2日後、帰りのフライトも順調に済み、私は、少しだけ、少しだけCAの仕事に慣れてきたような気がした。

しかし、緊張はしていたようで、日本に着いて丸一日は時差ボケの眠りについた。

目を覚ましてトマトジュースを一気飲みした。
スマホのLINEを見ると、既に仙石機長からLINEがあった。

『明日、午前10時に迎えに行く。
動きやすい格好で、頼む。』

動きやすい格好で?
一体どこに行くのだろうか?

私は淡い紫のシャツにジーンズを履いた。

「仙石機長、おはようございます。」

「あぁ、おはよう。」

仙石機長はシルバーのベンツのスポーツカーに乗っていた。
運転など、飛行機に比べればお茶の子さいさいといった所だろうか…?
かなり器用にバックして、ピタリとエントランスに付けた。

私は助手席に乗り込む。

「どこに行くんですか?」

「いちご狩り。
もうすぐ終わるだろ?
好きって言ってたから、いちご…」

私の好きな食べ物、覚えてたんだ…

「楽しみです…!」

「あぁ、俺もだ。」

そして、都内のいちご畑に到着。

すぐにいちご狩りをする事が出来た。

「あ、これ!」

「ん?」

仙石機長が顔を近づける。

「ちょ、近いです!」

「見ただけだろう…」

「顔面偏差値高すぎて…」

「え、俺?」

「他に誰がいるんですか!?」

「そりゃ、どうも。
あ、これ、美味しそうだぞ。」

「あ、ほんとだー!
仙石機長、はい、あーんして?」

「え…!?
あーん…!?」

「早く、こっちだって恥ずかしいんだから!」

「あ、あーん…」

「…美味しいですか?」

「美味しい…」

真っ赤になって照れまくる仙石機長を、可愛いと思って見ていた。

「あっちでいちごスムージーにしてくれるらしいぞ!」

仙石機長は子供のように言う。
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