敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
憧れの人が婚約者?!
「高岡さん、就業時間ギリギリで申し訳ないんだけど、来週から開催される全仏オープン用の追加発注が来たんだけど、今日中にそれの手配をお願いしたいの、いいかしら?」
「今日中ですか?!」
「ごめんなさいね~。私、今日はこの後に大事な用が入ってて……」
「……そういうことなら、……分かりました」
「いつも助かるわぁ~」
五月中旬のとある日。
大手スポーツメーカー『WING』の業務部に勤務している私、高岡 美絃(二十八歳)。
少し長めのセミロングの黒髪は、ひっつめ気味に一つで束ねてあるだけ。
メイクは、基礎化粧の上にアイシャドウとアイブロウ、それとリップを乗せる程度の薄化粧。
同じ業務部で一年先輩の望月 愛華(二十九歳)が、美絃の机の上にチョコパイの小袋菓子を一つ置いて、『お先に失礼しま~す』と笑顔を振りまきながら帰って行った。
全仏オープンというのはテニスの四大大会のうちの一つで、フランス・パリにあるスタッド・ローラン・ギャロスにて行われる。
『WING』は有名ファッションブランドとコラボして、毎年Tシャツやバッグなどの商品を販売している。
勿論、契約しているプロテニスプレーヤーへの協賛も重要だけれど、現地でしか入手できない限定グッズはお土産品としても大人気だ。
「なぁ、いいのか? あれ、絶対合コンかデートだぞ」
「……仕方ないよ。先輩だし、断れないから」
「ったく、『私も用事があって』くらい言えばいいのに」
たまたま業務部に来ていた資材部の中里 剛(同期、二十八歳)が、美絃の肩をポンと叩いた。
「今日中ですか?!」
「ごめんなさいね~。私、今日はこの後に大事な用が入ってて……」
「……そういうことなら、……分かりました」
「いつも助かるわぁ~」
五月中旬のとある日。
大手スポーツメーカー『WING』の業務部に勤務している私、高岡 美絃(二十八歳)。
少し長めのセミロングの黒髪は、ひっつめ気味に一つで束ねてあるだけ。
メイクは、基礎化粧の上にアイシャドウとアイブロウ、それとリップを乗せる程度の薄化粧。
同じ業務部で一年先輩の望月 愛華(二十九歳)が、美絃の机の上にチョコパイの小袋菓子を一つ置いて、『お先に失礼しま~す』と笑顔を振りまきながら帰って行った。
全仏オープンというのはテニスの四大大会のうちの一つで、フランス・パリにあるスタッド・ローラン・ギャロスにて行われる。
『WING』は有名ファッションブランドとコラボして、毎年Tシャツやバッグなどの商品を販売している。
勿論、契約しているプロテニスプレーヤーへの協賛も重要だけれど、現地でしか入手できない限定グッズはお土産品としても大人気だ。
「なぁ、いいのか? あれ、絶対合コンかデートだぞ」
「……仕方ないよ。先輩だし、断れないから」
「ったく、『私も用事があって』くらい言えばいいのに」
たまたま業務部に来ていた資材部の中里 剛(同期、二十八歳)が、美絃の肩をポンと叩いた。
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