魔力が消える前に、隣国の皇帝と期限付きの婚約を交わす
1.婚約破棄
会場の扉を開くと、視線が矢のように突き刺さった。煌めくシャンデリアの下で、王太子ステファン様は子爵令嬢シャルロッテ様と楽し気に笑い合っている。私は息を吸い込んで、いつもより堂々と足を踏み出した。
「ステファン様……どういうおつもりですか?」
ざわめいていた会場が静まり返り、ステファン様は面倒くさそうにこちらを向いた。
「見てわからない?君との婚約は破棄して彼女と結婚する。」
ステファン様の声が会場に響くとどよめきが起きた。私はぐっと手を握りしめてステファン様の顔を見据えた。
「ステファン様の魔力を抑えられるのは、私だけです。」
決意を込めて告げると、ステファン様は面白くなさそうに鼻で笑った。
「城の魔力使いがなんとかするさ。父上がそう言っていた。」
私はステファン様のために尽くしてきた。国王陛下も私を認めてくれていたのに、こうも簡単に切り捨てられてしまうのか。
「君がいればなんとかなると思っていたけど違った。僕の魔力は少しも上達しないんだから。」
「それは、ステファン様が努力をなさらないからです!」
思わず大きな声で反論すると、会場が笑いに包まれた。すると、シャンデリアの灯りが不自然に揺らめいてステファン様の魔力が漂ってきた。ステファン様の魔力が暴発する予兆だ。
すぐさま魔力を放つと、シャルロッテ様のドレスがぼわりと舞い上がった。
「きゃあっ!」
シャルロッテ様は大袈裟な叫び声を上げてステファン様の胸に飛び込む。
「シャルロッテに何をした!」
「……ステファン様の魔力を抑えただけです。」
「出て行ってくれ!王太子命令だ!」
ステファン様は、鋭い視線をこちらへ向けている。ぎゅっと胸を掴まれるような痛みを覚えて、私はステファン様に背を向けた。
(さようなら……ステファン様……)
「ステファン様……どういうおつもりですか?」
ざわめいていた会場が静まり返り、ステファン様は面倒くさそうにこちらを向いた。
「見てわからない?君との婚約は破棄して彼女と結婚する。」
ステファン様の声が会場に響くとどよめきが起きた。私はぐっと手を握りしめてステファン様の顔を見据えた。
「ステファン様の魔力を抑えられるのは、私だけです。」
決意を込めて告げると、ステファン様は面白くなさそうに鼻で笑った。
「城の魔力使いがなんとかするさ。父上がそう言っていた。」
私はステファン様のために尽くしてきた。国王陛下も私を認めてくれていたのに、こうも簡単に切り捨てられてしまうのか。
「君がいればなんとかなると思っていたけど違った。僕の魔力は少しも上達しないんだから。」
「それは、ステファン様が努力をなさらないからです!」
思わず大きな声で反論すると、会場が笑いに包まれた。すると、シャンデリアの灯りが不自然に揺らめいてステファン様の魔力が漂ってきた。ステファン様の魔力が暴発する予兆だ。
すぐさま魔力を放つと、シャルロッテ様のドレスがぼわりと舞い上がった。
「きゃあっ!」
シャルロッテ様は大袈裟な叫び声を上げてステファン様の胸に飛び込む。
「シャルロッテに何をした!」
「……ステファン様の魔力を抑えただけです。」
「出て行ってくれ!王太子命令だ!」
ステファン様は、鋭い視線をこちらへ向けている。ぎゅっと胸を掴まれるような痛みを覚えて、私はステファン様に背を向けた。
(さようなら……ステファン様……)
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