魔力が消える前に、隣国の皇帝と期限付きの婚約を交わす
6.私の役目
馬車は霧の中を進み、やがて空高くそびえる城の前で停車した。
ランスロットさんに続いて城の中へ足を踏み入れると、ぶるっと体が震えた。城の中はすぐ先が見えないほど暗く、得体の知れない物音がどこからともなく聞こえてくる。それに、背筋がゾクリとするような寒さだ。
「あ、すみません。この暗さに慣れてまして……灯りをつけますね。」
ランスロットさんが指を鳴らすと、長い廊下にぼんやりと炎が灯った。だけど、それがまた恐ろしさを助長しているようにも思えた。
「陛下のところへご案内しま〜す♪」
暗く寒い静かな廊下に、ランスロットさんの明るい声は不釣り合いだ。雨が降っているから窓から明かりが入って来ないことはわかるけれど、それにしても暗すぎる。それに、城の中は異常なほど静かだ。
「……誰もいないのですか?」
廊下に私の声が響き、ランスロットさんは意味ありげにゆっくり振り返った。そして──
「誰もいないんです……この城には……私と陛下だけです……ふふ、ふふふふ。」
わざと怖がらせようとしていることはわかっている。だけど笑う余裕は少しもなかった。
ランスロットさんに続いて城の中へ足を踏み入れると、ぶるっと体が震えた。城の中はすぐ先が見えないほど暗く、得体の知れない物音がどこからともなく聞こえてくる。それに、背筋がゾクリとするような寒さだ。
「あ、すみません。この暗さに慣れてまして……灯りをつけますね。」
ランスロットさんが指を鳴らすと、長い廊下にぼんやりと炎が灯った。だけど、それがまた恐ろしさを助長しているようにも思えた。
「陛下のところへご案内しま〜す♪」
暗く寒い静かな廊下に、ランスロットさんの明るい声は不釣り合いだ。雨が降っているから窓から明かりが入って来ないことはわかるけれど、それにしても暗すぎる。それに、城の中は異常なほど静かだ。
「……誰もいないのですか?」
廊下に私の声が響き、ランスロットさんは意味ありげにゆっくり振り返った。そして──
「誰もいないんです……この城には……私と陛下だけです……ふふ、ふふふふ。」
わざと怖がらせようとしていることはわかっている。だけど笑う余裕は少しもなかった。