魔力が消える前に、隣国の皇帝と期限付きの婚約を交わす
9.帰省
朝起きて支度を済ませると、扉が叩かれてランスロットさんがやってきた。
「おはようございます、セレーヌ様。ご準備はできましたか?」
「はい!よろしくお願いします。」
ランスロットさんの後について行くと、魔力で造られた馬車が待っていた。
「わ!またこの馬車だ!」
「どうぞ。」
乗り込むと、馬車はふわりと浮き上がってエルバトリアへ向かって走り出した。
「ランスロットさん、陛下はあの手紙が両親の本意ではないと知ってますよね?」
「もちろんです。それに、王太子殿下から手紙が届いたのは今回が初めてではないんです。」
「どういうことですか?」
ランスロットさんは、隠し持っていた大量の手紙を私に見せた。
「これ……全部ステファン様からですか!?」
「はい。両親から来たのは初めてでしたが。」
開いた口がふさがらない。
「セレーヌ様はなぜ王太子殿下と婚約していたのですか?魔力の差があまりにも違うように思います。」
「最初は私がお支えすればいいって思っていたんです。それがステファン様のためになって、エルバトリアのためになればいいかなって……」
「それで、たくさんの魔力を習得されたのですね。」
「はい……私のせいかもしれませんね。ステファン様が魔力を使えないのは。」
「それは違います。魔力は自分で習得しなければなりません。どんなに優秀な人に教わったとしても、本人に習得する意思がなければどうにもなりません。今でも魔力が使えないのでしたら、それはあのポンコツ王太子の怠慢でしかありませんよ。」
「ふふっ、ランスロットさんって結構毒舌ですよね。」
「あの王太子には、ヴァルドラードの国境を攻撃されたことがありますから、少し恨みがあるのかもしれません。」
「そうでした……あの時は本当に申し訳ありませんでした。」
「セレーヌ様が謝る必要はありません。攻めてきたのはあのポンコツ。たとえセレーヌ様が止めたとしてもいつかは実行したことでしょう。自分の力を過信しているようですからね。」
「確かにそうかもしれません……」
「今後はご自身のために魔力をお使いになってください。あんな奴のために魔力を使う必要はありません。」
「そうですね。まずは全ての部屋を掃除して、キラキラなお城にします!」
「それは自分のためではないように思いますが?」
「私のためですよ。初めて見たヴァルドラードのお城は怖かったですからね。」
「城には2人しかいませんから、そういったことは感じたことがありませんでした。」
「ランスロットさんお1人では大変だと思います。使用人の方を雇ったらどうかと思うのですが、陛下は嫌なのですか?」
「そうですね……以前は城にもたくさんの使用人がいたのですが……」
ランスロットさんの声がおどろおどろしくなって、ぶるっと体が震えた。
「な、なんですか!やめてください!」
「ははは、何をお考えになったのです?まさか噂のようなことがあるのではないかと?」
「そんなことない!絶対ないです!陛下が人見知りだってことにします!」
「ははは。」
窓の外を覗くと、懐かしいエルバトリアのお城が見えてきた。
「おはようございます、セレーヌ様。ご準備はできましたか?」
「はい!よろしくお願いします。」
ランスロットさんの後について行くと、魔力で造られた馬車が待っていた。
「わ!またこの馬車だ!」
「どうぞ。」
乗り込むと、馬車はふわりと浮き上がってエルバトリアへ向かって走り出した。
「ランスロットさん、陛下はあの手紙が両親の本意ではないと知ってますよね?」
「もちろんです。それに、王太子殿下から手紙が届いたのは今回が初めてではないんです。」
「どういうことですか?」
ランスロットさんは、隠し持っていた大量の手紙を私に見せた。
「これ……全部ステファン様からですか!?」
「はい。両親から来たのは初めてでしたが。」
開いた口がふさがらない。
「セレーヌ様はなぜ王太子殿下と婚約していたのですか?魔力の差があまりにも違うように思います。」
「最初は私がお支えすればいいって思っていたんです。それがステファン様のためになって、エルバトリアのためになればいいかなって……」
「それで、たくさんの魔力を習得されたのですね。」
「はい……私のせいかもしれませんね。ステファン様が魔力を使えないのは。」
「それは違います。魔力は自分で習得しなければなりません。どんなに優秀な人に教わったとしても、本人に習得する意思がなければどうにもなりません。今でも魔力が使えないのでしたら、それはあのポンコツ王太子の怠慢でしかありませんよ。」
「ふふっ、ランスロットさんって結構毒舌ですよね。」
「あの王太子には、ヴァルドラードの国境を攻撃されたことがありますから、少し恨みがあるのかもしれません。」
「そうでした……あの時は本当に申し訳ありませんでした。」
「セレーヌ様が謝る必要はありません。攻めてきたのはあのポンコツ。たとえセレーヌ様が止めたとしてもいつかは実行したことでしょう。自分の力を過信しているようですからね。」
「確かにそうかもしれません……」
「今後はご自身のために魔力をお使いになってください。あんな奴のために魔力を使う必要はありません。」
「そうですね。まずは全ての部屋を掃除して、キラキラなお城にします!」
「それは自分のためではないように思いますが?」
「私のためですよ。初めて見たヴァルドラードのお城は怖かったですからね。」
「城には2人しかいませんから、そういったことは感じたことがありませんでした。」
「ランスロットさんお1人では大変だと思います。使用人の方を雇ったらどうかと思うのですが、陛下は嫌なのですか?」
「そうですね……以前は城にもたくさんの使用人がいたのですが……」
ランスロットさんの声がおどろおどろしくなって、ぶるっと体が震えた。
「な、なんですか!やめてください!」
「ははは、何をお考えになったのです?まさか噂のようなことがあるのではないかと?」
「そんなことない!絶対ないです!陛下が人見知りだってことにします!」
「ははは。」
窓の外を覗くと、懐かしいエルバトリアのお城が見えてきた。