魔力が消える前に、隣国の皇帝と期限付きの婚約を交わす
10.魔法石のペンダント
客間で待っていると父がやってきた。父は一瞬目を見開いて、ランスロットさんに深々を頭を下げた。
「ランスロット様、わざわざお越しいただき、ありがとうございます。」
「お父様、お体は大丈夫?」
父は見るからに疲れている。
「心配いらないよ。セレーヌは楽しくやっているかい?」
「毎日すごく楽しいわ。」
「それは良かった。エルバトリアのことは考えなくて良い。ヴァルドラードで楽しくやりなさい。」
父と話していると客間の扉が開いて国王陛下が入ってきた。国王陛下はあからさまに動揺した顔を見せて、体を硬直させている。当たり前だ。ステファン様が結界を攻撃したのだから。
国王陛下はカクカクと硬直しながら向かいに座ると、私に向かって勢いよく頭を下げた。
「セレーヌ、申し訳なかった!私はお前が王太子妃になることをずっと望んでいたのに……それなのに、突然婚約を破棄してしまって、ずっと詫びることができなかった。」
簡単に婚約破棄が認められてしまったことは納得がいかなかったけれど、国王陛下はステファン様に言われて承認しただけだ。きっと、ステファン様が婚約破棄を認めなければ駆け落ちするとか死んでやるとか言ったのだろう。
「お言葉をいただけただけで充分です。ありがとうございます、陛下。」
「セレーヌがヴァルドラードへ行くと聞いて、正直寂しかったよ。だが、引き留めるつもりはない。アルフォンス様のところで、存分に魔力を学ぶといい。お前の魔力は素晴らしいからね。」
「ありがとうございます。」
幼い頃にステファン様と婚約して、国王陛下にはいろんなことを教わった。国王陛下は私の魔力を認めてくださっている。じんと胸が熱くなった。
「陛下、皇帝陛下にステファン様から手紙が届いているんです。やめるように言っていただけますか?」
「手紙……?」
ランスロットさんは何も言わずに、国王陛下の前に手紙をばらまいた。
「これは……」
「私はステファン様のところへは戻りません。皇帝陛下にもご迷惑をおかけしていますので……」
「わかった……」
国王陛下は顔を俯けている。これでステファン様から手紙が届くことはなくなるだろう。
「失礼致します、陛下。ランスロットさん、帰りましょうか。」
「申し訳ありません、セレーヌ様。実は国王陛下へご伝言を預かって参りましたので、少しお待ちいただけますか?」
「そうだったのですね。わかりました。外で待ってますね。」
「陛下、私も外でお待ちしております。」
父と共に客間を出ると、私は父の顔を見上げた。父の額にはじんわりと汗がにじんでいる。
「お父様、どうしたの?体調がお悪いの?」
「そんなことないよ。ただ、少し疲れているのかもしれないね。」
「ステファン様の魔力を抑えるのが大変なのよね。」
「セレーヌが心配することじゃない。庭園にお母様がいるから話をしていなさい。ランスロット様と陛下の話が終わったら呼びに行く。」
「わかったわ。」
私は庭園へ向かった。
「ランスロット様、わざわざお越しいただき、ありがとうございます。」
「お父様、お体は大丈夫?」
父は見るからに疲れている。
「心配いらないよ。セレーヌは楽しくやっているかい?」
「毎日すごく楽しいわ。」
「それは良かった。エルバトリアのことは考えなくて良い。ヴァルドラードで楽しくやりなさい。」
父と話していると客間の扉が開いて国王陛下が入ってきた。国王陛下はあからさまに動揺した顔を見せて、体を硬直させている。当たり前だ。ステファン様が結界を攻撃したのだから。
国王陛下はカクカクと硬直しながら向かいに座ると、私に向かって勢いよく頭を下げた。
「セレーヌ、申し訳なかった!私はお前が王太子妃になることをずっと望んでいたのに……それなのに、突然婚約を破棄してしまって、ずっと詫びることができなかった。」
簡単に婚約破棄が認められてしまったことは納得がいかなかったけれど、国王陛下はステファン様に言われて承認しただけだ。きっと、ステファン様が婚約破棄を認めなければ駆け落ちするとか死んでやるとか言ったのだろう。
「お言葉をいただけただけで充分です。ありがとうございます、陛下。」
「セレーヌがヴァルドラードへ行くと聞いて、正直寂しかったよ。だが、引き留めるつもりはない。アルフォンス様のところで、存分に魔力を学ぶといい。お前の魔力は素晴らしいからね。」
「ありがとうございます。」
幼い頃にステファン様と婚約して、国王陛下にはいろんなことを教わった。国王陛下は私の魔力を認めてくださっている。じんと胸が熱くなった。
「陛下、皇帝陛下にステファン様から手紙が届いているんです。やめるように言っていただけますか?」
「手紙……?」
ランスロットさんは何も言わずに、国王陛下の前に手紙をばらまいた。
「これは……」
「私はステファン様のところへは戻りません。皇帝陛下にもご迷惑をおかけしていますので……」
「わかった……」
国王陛下は顔を俯けている。これでステファン様から手紙が届くことはなくなるだろう。
「失礼致します、陛下。ランスロットさん、帰りましょうか。」
「申し訳ありません、セレーヌ様。実は国王陛下へご伝言を預かって参りましたので、少しお待ちいただけますか?」
「そうだったのですね。わかりました。外で待ってますね。」
「陛下、私も外でお待ちしております。」
父と共に客間を出ると、私は父の顔を見上げた。父の額にはじんわりと汗がにじんでいる。
「お父様、どうしたの?体調がお悪いの?」
「そんなことないよ。ただ、少し疲れているのかもしれないね。」
「ステファン様の魔力を抑えるのが大変なのよね。」
「セレーヌが心配することじゃない。庭園にお母様がいるから話をしていなさい。ランスロット様と陛下の話が終わったら呼びに行く。」
「わかったわ。」
私は庭園へ向かった。