魔力が消える前に、隣国の皇帝と期限付きの婚約を交わす
14.庭園の掃除
お城の掃除を終えて部屋に戻った私は窓に駆け寄った。外が徐々に明るくなっていく。
「雨が……降ってない!」
ヴァルドラードへ来てからずっと雨だった。窓を開けると雲がはけて青空が見えてきた。ヴァルドラードの青空を見たのははじめてだ。
「庭園は見えるかな。」
窓から見下ろすと、庭園を覆い尽くしていた靄が空の雲と同じようにはけていく。しかし──
「あれ?」
靄がなくなっても何も見えない。空は晴れて良い天気だ。それなのに眼下に広がる広大な敷地には何もない。不思議に思って庭園に出ると、何もないように見えていた理由がわかった。
「全部、草……?!」
膝の高さほどの草が遠くまで続いている。ランスロットさんが悲惨な状態と言っていた意味がやっとわかった。確かにこれは一筋縄ではいかない。
「草を掃除するのも浄化の魔力だよね……」
お城の中を掃除することには慣れてきたけれど、この広大な敷地に魔力を放ったら一瞬で魔力が切れてしまいそうだ。
「どうしよう……」
途方に暮れてしゃがみ込むと、草の合間に花が咲いているのが見えた。
「花が咲いてる!」
私はそっと魔力を放った。すると草が消えて中から可愛らしい花が顔を出した。この草がなくなれば、エルバトリア城の庭園にも負けない素敵な庭園になる。私は気合いを入れようと大きく深呼吸をした。
「雨が……降ってない!」
ヴァルドラードへ来てからずっと雨だった。窓を開けると雲がはけて青空が見えてきた。ヴァルドラードの青空を見たのははじめてだ。
「庭園は見えるかな。」
窓から見下ろすと、庭園を覆い尽くしていた靄が空の雲と同じようにはけていく。しかし──
「あれ?」
靄がなくなっても何も見えない。空は晴れて良い天気だ。それなのに眼下に広がる広大な敷地には何もない。不思議に思って庭園に出ると、何もないように見えていた理由がわかった。
「全部、草……?!」
膝の高さほどの草が遠くまで続いている。ランスロットさんが悲惨な状態と言っていた意味がやっとわかった。確かにこれは一筋縄ではいかない。
「草を掃除するのも浄化の魔力だよね……」
お城の中を掃除することには慣れてきたけれど、この広大な敷地に魔力を放ったら一瞬で魔力が切れてしまいそうだ。
「どうしよう……」
途方に暮れてしゃがみ込むと、草の合間に花が咲いているのが見えた。
「花が咲いてる!」
私はそっと魔力を放った。すると草が消えて中から可愛らしい花が顔を出した。この草がなくなれば、エルバトリア城の庭園にも負けない素敵な庭園になる。私は気合いを入れようと大きく深呼吸をした。